プリサーブド・フラワーをご存知だろうか。ご存知のかたも多いはず。元々は生花だが、手入れ・水やりなしでも最低2年くらいもつフラワー・アレンジメントの一種。プリサーブドに限らないが、最近男性のあいだでもフラワー・アレンジメントや自分のために花を買う習慣が増えているという。これも古くはわが国平安朝に由来する雅につながるものなのか、最近の草食系男子のムーブメントにも現れていることなのか。
ぼくも大学を卒業後、いちばん最初に就職した先で華道クラブに入っていたことがある。そこは草月流の流れをくむ流派で、いわゆる主・客・副の生け方を教えてもらったものだ。もうすっかり忘れてしまったけど。
最近新宿伊勢丹のメンズ館8階にニコライ・バーグマンのフラワーショップが出来たということで行ってみた。たまたま別の用事だったのだけど。実際に花に包まれていたり、花の雰囲気が発散しているというのはどんな場所でもなにか豊かな感じになっていいものだ。
花ということでいえば、現在も失職している友人がいて、彼はずっと映画関係の仕事をしていたのだけど、昨年いわゆる契約打ち切りで大手のK社を辞めることになった。彼にはぼくが昨年怪我で自宅療養中だったときに何度か自宅に訪ねてきてもらい、当時気落ちしていたのを大分元気づけてもらったものだ。
また彼はクリスチャン・トルチュのフラワー・アレンジメントが大好きというとても感性豊かな人でもあったから、妻とも相談して、ぼくが怪我から復帰した快気祝いのお返しに、上記トルチュさんのお店で買ったプリザーブド・フラワーを贈ったのだった。
彼は当時、映画の仕事への復帰を諦めて花屋さんに転職してもいいというような考えもあり、そうした相談を受けたこともあった。実名は明かせないが、M君。M君の部屋のどこかには今もクリスチャン・トルチュのプリザーブド・フラワーが揺れていてくれるだろうと思うのだが、それとともになるべく早くいわゆる「就活」がうまく行ってほしいとぼくは思っている。因みに彼の就職先はまだ決まっていない。
男たちと花、時代は不確かで、なかなかその結びつきも切なく厳しいかもしれないけど。
よしむね