以前(今年の1月1日)本記事中で桑田佳祐は月の人でないかと指摘させていただいたことがある。以下はまさむねさんの記事にそのとき書かせていただいたぼくのコメント欄中のことばです。
「桑田さんは海や夏を歌った歌が多いわけですが、「太陽」よりも、実は「月(ムーン)」の人だと思いますね。家紋もそうですが、桑田さんにおける日本の花鳥風月の歴史的な伝統との関連性を考えるのも面白いと思います。彼の歌にはある種新古今や現代の定家につながるようななにかがあるかもしれません」
この思いつきは今も変わらない。月のひとというのは基本的には主体の明るさで動くよりも、その反映や情緒や機微に感じ入りながら動くひとといったほどの意味だ。たぶん日本人の多くが本来持っている機微に通じるようなもの。
この2月に出た新譜MUSICMANにはまさに桑田佳祐が月の人であることを裏付けるような、どんぴしゃな歌があったので、それをご紹介したいと思う。きっとご存知の方も多いはず。
本来もっと早く取り上げるつもりだったのだが、地震だ・なんだですっかり遅れてしまいました。以下歌詞全文です。題名もそのものずばり。
この曲をたまたま震災後に聴きなおす機会があったとき、不覚にもぽろりとしてしまったものだ。
月光(ミスター)の(・)聖者(ムーン)達(ライト)
夜明けの首都高走りゆく
車列は異様なムードで
‘月光(つきあかり)の聖者(おとこ)達(たち)‘の歌が
ドラマを盛り上げる
知らずに済めば良かった
聴かずにおけば良かった
「人生はまだ始まったばかりだ!!」って
胸が張り裂けた
ひとりぼっちの狭いベッドで
夜毎涙に濡れたのは
古いラジオからの
切ない‘Yea(イエ)h Yeah(イエ)の歌‘
今はこうして大人同士に
なって失くした夢もある
時代(とき)は移ろう
この日本(くに)も変わったよ
知らぬ間に
二度とあの日の僕には
戻れはしないけど
瞳(め)を閉じりゃ煌めく季節に
みんなが微(わ)笑(ら)ってる
ひとりぼっちの狭いベッドで
夜毎涙に濡れたのは
ビルの屋上の舞台(ステージ)で
巨大(おおき)な陽が燃え尽きるのを見た
現在(いま)がどんなにやるせなくても
明日は今日より素晴らしい
月はいざよう秋の空
‘月光(ミスター)の(・)聖者(ムーン)たち(ライト)‘
Come again, please
もう一度抱きしめたい
たしかに陽は燃え尽きつつあり、誘うのは秋の空にちがいない。
月の人の面目躍如の歌詞だと思う。そして月光の聖者たちへの桑田佳祐一流の応援歌でもあるのだろう。
(歌詞のURLはこちら )
よしむね
よしむねさんへ
月光の聖者というのは、ビートルズのことでしょうね。
今でも初来日の時のテレビ番組で、首都高を走るビートルズのバックにミスタームーンライトが流れるシーンを、自身の青春と、これから伸び行く日本の一番言い時代を重ね合わせる人は多いと思います。
本当だったら、ビートルズ大好きで、ある意味、ビートルズのおかげで今日の名声を築いた桑田さんが、
知らずに済めば良かった
聴かずにおけば良かった
とか、
今はこうして大人同士に
なって失くした夢もある
という歌詞を歌うところに、今の日本を憂う気持ちが現れているように思います。
でも、
陽は燃え尽きつつあったとしても、明日は今日より素晴らしい
そんな気持ちで、日々生きていきたいと思いますね。
まさむねさんへ
ビートルズは、ぼくは多分ギリギリリアルタイムの下限の世代ですね。ビートルズが解散したときぼくは中1の年でした。後にロンドンに行ったとき、例のアビーロード行きました。実はぼくは小学生の時からビートルズが好きで、当時の旧式の小型のステレオでよく聴いていたんですよ。当時何が好きだったかというと、ロックンロール・ミュージックです。いまでも当時のシングル盤あるかな。今度実家に帰ったとき、探してみます。小学生とロックですね。ませてたのかどうかよく分かりませんが。それからそのステレオが関西から出荷されたもので、西と東で周波数が合わなくて(今まさに電力で問題になってますが)音が違っていたというトラブルが最初ありましたね。
ロックンロールミュージックは東京公演のときにも演奏された曲ですね。
日本ではシングルカットされたこともあって、70年代くらいまでは常にビートルズトップ10には入っていしたね。
現在は、それほど評価はたかくないんじゃないかな。
このミスタームーンライトもそうですね。両方ともオリジナルじゃないところが評価が今一つなところかもしれません。
これらの曲のファンということは、リアルタイムファンだったということを表しているような曲ですね。
桑田さんのこのバラードは切なくて、何度聴いてもいいですね。
人間にとって過去は常に郷愁と後悔溢れる痛いものです。
年を重ねると、そんな過去がフッと甦ってくることがあります。
その瞬間をとらえることに関して、桑田さんも定家も達人ということなのでしょうね。
僕はさよならベイビーの歌詞が好きですね
サザン世代でもなんでもないですが
以前からサザンには盛夏の太陽というよりは
どこか残暑のけだるさ、やるせなさなどを感じていました
さよならベイビーをはじめて聴いたときに
月だなと漠然と感じたのを思い出しました
無常観ですね自分ではどうにもならん、一種のあきらめのような
YOSHIKIさんへ
コメントありがとうございます。
無常観と諦念ですよね。
これこそ新古今や定家に通じる桑田さんの本流のような気がします。