I Saw Her Standing There
★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1963/2/11 ●1975年のエルトンジョンのコンサートに飛び入り参加したジョンがこの曲を歌うが、その時「昔、僕を捨てた婚約者のポールの曲」という風に紹介したという。 もともと、ポールが、 She was just seventeen, she’d never been a beauty queen. 彼女は17歳、美人コンテストで優勝はしていないけどね って書いたのをジョンが、 She was just seventeen, you know what I mean? 彼女は17歳、どういう意味かってわかるだろ? というアイディアを出してそれに決まったと言われている。確か、17歳っていうのは、イギリスでは親の承諾無く結婚できる年齢ってことじゃなかったっけ?
年長者のジョン、さすがに歌詞のテクニックでは、この頃のポールよりも一枚上だよね。
Ask Me Why
★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1962/11/26 ●Please Please Me のB面として発売。 何故か、私はこの曲が聞きたくて、でも、お金もなかったため、Please Please Me のシングル盤を購入したという思い出がある。
なぜなら、この曲をラジオで聞いて忘れられなかったからね。
その時そのラジオ番組で、Baby you’re rich man とWe ca work it outも流れたんだ。
どういった番組かも忘れたが、たまたま録音していて何度も聞いたもんだよ。
Love Me Doより名曲だと思うんだが、何故シングルA面にならなかったの?当時のマーチンの狙いがわからん。
Please Please Me
★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1962/11/26 ●もともとスローテンポだったのをマーチンがスピードを上げるように指示。大ヒットにつながる。
●ポンキッキでもよく流れてたから、30歳代の人にも馴染みのある曲なんじゃないかな。 Beatlesは、最初から母性本能をくすぐることをコンセプトにしていた。それが、成功したんだろうな。
デビューのLove Me doも、このPlease Please Meも「お願い型命令形」の歌だからね。
そしてその後、From me to youや抱きしめたいとかのリアクションでビッグな存在になっていくんだよ。ビートルズの成功のためには、デビューから最初の2曲の、こういった低姿勢から始まったってのがポイントだったんだと思うよ。そういえば、コンサートとかで見せる彼らの、お辞儀の深さ凄いよね。そういう意味でエプスタインのプロデュース力はたいしたもんだ。だって当時、30歳前でしょ。本当、エプスタインさんも天才だよな。
ビートルズの出世作。熱気が凄い。
Love Me Do
★☆☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1962/9/11 ●ビートルズのデビュー曲。 中山康樹氏も言ってるが、なんでこんな曲がデビュー曲なんだって正直俺も思ってる。マーチンは本気でビートルズを売る気があったんだろうか。その後の成長のために、一度は壁をつくったのか?星一徹じゃないんだから、そんなことはないか。それでも、後に全米No.1になっちゃったんだから、当時の勢いってのは凄かったんだろうな。
デビュー曲にしては地味な曲。
P.S. I Love You
★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1962/9/11 ●リンゴはマラカス。アランホワイトがドラムスを担当。
この曲もそうだし、All my lovingもそうだけど、ポールは電話より、手紙の方が好きみたいだね。
ポールの初期の名曲。
Baby It’s You
★☆☆☆☆ ◆(Hal David/Baney Williams/Burt Bacharach) V=John 収録日=1993/2/11,20 ●バートバカラックの曲 。 これもジョンの歌唱力で持ってる曲。「Meet the Beatles」っていう日本版でよく聴いたけど、なんとなく聴いてただけで、メチャクチャ好きって曲じゃなかったな。
シャラララララー♪っていうのが印象的でした。
Do You Want To Know A Secret
★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=George 収録日=1993/2/11 ●アメリカではサンキューガールのB面ながら、No.2のヒットとなった。 ジョンとポールとマーチンとエプスタインによるジョージハリソン=奥手男プロデュース計画の第一弾がこの曲。 Listen
Do you want to know a secret. Do you promise not to tell, whoa oh, oh 聞いて。 僕の秘密知りたい?誰にも言わないって約束する? Closer
Let me whisper in your ear
Say the words you long to hear
I’m in love with you じゃあそばに来て。耳元でささやいてあげる。 君が待ちわびている言葉さ。実は君が好きなんだ。
なんか、幼児がお母さんに向かって言うような愛の告白だな。そこまで子供扱いされていたのか、ジョージ。ちなみに、このthe words you long to hear君が待ちわびている言葉っていうのはジョンの得意のフレーズなんだ。All I’ve Got To Doでも使ってるからね。
ジョージ頑張ってるな。アイドルとして。
A Taste Of Honey
★★★☆☆ ◆(Bobby Scott/Ric Marlow) V=Paul 収録日=1993/2/11 ●邦題は「蜜の味」 。 ポールのハンブルグ時代からの十八番。この曲をライブで演るとき、ポールは「次はジョンの嫌いな曲をやります」って言ってたらしい。
ごめん、ポール、僕もそんなにこの曲好きじゃなかったりするんだ。
There’s A Place
★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1993/2/11 ●ハモニカが目立つ曲。 この曲の流れは、「I’ll Cry Instead」「Nowhere Man」と続いていく。本質的に引きこもり体質のあるジョンの内省ソング。この3曲をジョンの引きこもり3部作と呼ぼう。3部作の冒頭の詞を書いてみるね。
1)There’s A Place There is a place, Where I can go, When I feel low, When I feel blue.
And it’s my mind, And there’s no time when I’m alone. 気持ちが沈んだとき、憂鬱なとき僕がいつもいく場所がある
それは僕の心の中 ひとりでいると時のたつのも忘れる
2)I’ll Cry Instead I’ve got every reason on earth to be mad, ’cause I’ve just lost the only girl I had.
And if I could get my way, I’d get myself locked up today, But I can’t so I cry instead. 頭がおかしくなってもしかたがない たったひとりの恋人に捨てられたんだ
できるものなら、いますぐ閉じこもっちまいたいけど そうもいかない以上
僕は泣くしかないのさ
3)Nowhere Man He’s a real nowhere man Sitting in his nowhere land
Making all his nowhere plans For nobody あいつはどこへも行き場のない男 実在しない空想の国に閉じこもり
誰のためともなくどうなる当てもない計画をたてる
ねっ、みんな共通してるでしょ。
ザラザラした感じがいいね。初期の名曲。
Twist And Shout
★★★★☆ ◆(Phil Melody/Bert Russell) V=John 収録日=1993/2/11 ●1963年11月「ロイヤルバラエテシィショー」に出演したビートルズ。ジョンは、「次の曲ではみなさん全員に参加していただきたく思います。安い席のお客さんは手拍子をしてください。 そうでないお客さんは宝石をジャラジャラならしてください」と言ってこの曲を演奏した。
●1963年2月、Please Please Me セッションで最後の演奏された。この時ジョンは風邪を引いていたが、最後、上半身裸で演奏したという伝説が残っている。 70年代ラジオ日本でやってたビートルズ番組では最初にこの曲が流れた。ビートルズの代表曲のひとつだが、オリジナルじゃないんだよな。オリジナルはアイズレー・ブラザーズ。俺は、知らないバンド。
It Won’t Be Long
★★★★★ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1963/7/30 ●もともとシングル用に作られたが結局はこのアルバムのオープニングとなる。 この頃のジョンの歌はまだ詞よりも音楽が優先している。曲の勢いがいいよね。僕の大好きな曲の一つだよ。 It won’t be long yeh, till I belong to you 僕が君のものになるのはもうすぐだ。
Be long とbelongがちゃんと韻を踏んでるのが嬉しい。 long year~♪ ロンゲー♪(※長髪の意)に聞こえるのだ。僕には。
メロディといい、演奏といい、疾走感が最高の名曲。
All I’ve Got To Do ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1963/9/11 ●ジョンがスモーキー・ロビンソン風に作ったという曲。
Whenever I want you around yeh
All I gotta do Is call you on the phone 君に会いたくなったら 僕は電話するだけでいい
ビートルズの2作目アルバムのWith the Beatlesのこの曲では、電話するのは男。
でも3作目のヤアヤアヤアのAny time at all では電話してくれたら、すぐに行くよっていう風に微妙に立場が入れ替わる。これは何を意味するのか。
あるいは何も意味しないのか。
なにげに秀作。
All My Loving ★★★★★ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1963/7/30 ●後日、ジョンが自分が作らなかったことを悔やんだという。ジョンの3連符のギターも人気が高い 。 高校の頃、この曲をバンドでやったな。M君のギターが上手かったな。今でも懐かしい思い出だよ。
もともとメロディがいいから、楽しいんだよね。シングルで発売されていたらもっと人気が出ただろうな。
癖の無い素直なメロディはこれぞやっぱり天才の仕事ってことなんだろうな。
歌詞もストレートで自信に満ち溢れたポールらしいもの。
非の打ち所の無い名曲だ。
Don’t Bother Me ★★★☆☆ ◆(George) V=George 収録日=1963/9/12 ●ジョージの初作。 あんまり曲とは関係ないのだが、シンコーミュージックのビートルズ全詩集(改訂版)での誤植を僕は2つみつけた。
ひとつはこの曲の最初のサビの部分のBecause I know she’ll always beのBecauseがBacauseになっている。
そしてもうひとつは、Blue Jay wayの2番、very longがvery lnogとなっているのだ。
両方ともジョージの曲ではないか。編集氏の目もジョージの詩には甘いということか。あるいは読者にあんまり読まれていないため、苦情が無いということなのか。
Little Child ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1963/9/12,10/3 ●もともとリンゴのために書かれた。 僕はこの曲で、littleの発音がリトルじゃなくて、リルだってことを知ったんだよな。もこのlittle Child って邦訳したら、”ちびっこ”?
ジョンがリードボーカルとハーモニカを担当している。いい声だな。ジョン。
Till There Was You ★★★☆☆ ◆(Meredith Willson) V=Paul 収録日=1963/7/30 ●ミュージカルのスタンダードのカヴァー曲。
僕は実は、ずっとこの曲はポールのオリジナルだと思っていたのだよ。
いい曲だよね。
Please Mr. Postman ★★☆☆☆ ◆(Dobbins etc) V=John 収録日=1963/7/30 ●マーヴェレッツのデビューヒット曲。
カーペンターズも後にカヴァー。ヒットさせたよね。From my girlfriendのところをFrom my boyfriendって歌ってたな。
今の感じからすると、「郵便屋さん止まって」というのは時代錯誤か。
Roll Over Beethoven ★★★☆☆ ◆(Chuck Berry) V=George 収録日=1963/7/30 ●もともとはジョンの十八番。
●チャックベリーの作曲。
●邦題は「ベートーベンをぶっとばせ」。
ジョージってこういう曲歌わせると舌がよくまわるよな。しかもリードギターも弾いているし。
高校の時、演ったけど、上手く出来なかったな。
ジョージの舌の転がしが好き。
Hold Me Tight ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1963/9/12 ●Please Please Meセッションで収録されたが没となった。
昔持ってた「Meet the Beatles」にも入っていたな。それだけの曲だけど。
地味な印象があるけど、昔は結構聴いたんだよ。
You Really Got A Hold On Me ★★★☆☆ ◆(Smokey Robinson) V=John,George 収録日=1963/7/18 ●レットイットビーセッションでも演奏された。 このアルバム、Don’t bother me、Roll over Beethoven、Devil In Her Heartとこの曲、4曲もジョージがリードボーカルをとっているんだな。 With the Beatlesは、ジョージ率1位アルバム。数でもホワイトアルバムと並ぶ。
ジョンとジョージがリードボーカルとしてクレジットされているのこの曲だけ。その意味で珍曲。
I Wanna Be Your Man ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Ringo 収録日=1963/9/12,30,10/3 ●ローリングストーンズにプレゼントした曲。ストーンズの2曲目のシングル。
●邦題の「彼氏になりたい」はストーンズバージョンにのみ適用。 たしかに、この曲の歌詞荒っぽいよな。ジョージが歌うDo you want to know a secret?みたいな繊細な青年って感じじゃなくて野卑な雰囲気がプンプンする。あまりにストレートだ。おそらく、エプスタインは、リンゴのキャラをそういった労働者階級の素朴なボーイみたいなのにしようとしたんだと思う。
ストーンズにこの曲をプレゼントしたってのは、ストーンズが後にずんずん進む不良路線を見据えていたんだろうな。
ジョン&ポールのプロデューサとしての慧眼も大したものだ。
それにしても、ビートルズの面々は労働者階級で不良だったのをスマート、小奇麗にしてデビューしたのに対し、ストーンズは中流階級なのに、逆に不良としてデビューした。この入れ替えが面白いよな。
結局、ジョンはその自分のイメージによる桎梏に対してどうしようもなくなっていくんだけど、ストーンズは結局、今の時代も基本的にはその路線で続いている。それはそれで凄い。
ポールとジョンがリンゴに歌わせた労働者階級的ラブソング。
Devil In Her Heart ★★☆☆☆ ◆(Richard Drapkin) V=George 収録日=1963/7/18 ●黒人女性ボーカルグループ・ドネイズのカヴァー。
ジョンお気に入りのR&Rだ。悪意に満ち満ちたジョンの声は魅力的だ。マーチンのピアノも前の曲に続き、合ってるような合ってないような。いや、合ってるんだろう。たまに、バラエティ番組のジングルに使われるが、おっと思ったらいつもフェードアウトしちゃう。そんな印象のある曲だ。Can’t buy me loveとMoneyって同じステージでやったことあるのかな?
●A面は映画「ビートルズがやってくるヤァヤァヤァ」のサントラ+Can’t buy me love、B面はその他新曲
●全曲レノン=マッカートニーオリジナルだが、ジョン主導の曲が11曲、ポールの曲が3曲。ジョンのソロアルバムの印象が強い。
●全英、全米ともにナンバー1を獲得。
全世界をビートルズ旋風が吹き荒れる中で発売された本作品。
この作品をジョンの音楽的ピークと捉える評論家も多い。よくみるとそんなジョンの作品も2つの系統にわけることが出来る。A Hard Day’s Night、恋する二人、家に帰れば等、仕事で疲れたけど、家に帰って安らごうという“幸せの恋“を歌った曲。
そしてもう一つは、If I fell、Tell me why、僕が泣く、You can’t do thatの流れ。情けなくときに暴力的なジョンのもう一つの面を示す曲だ。
ジョンの中で何かが変わってきた。欲しいものを手に入れたけど、満たされない自分、その心の叫びがこのアルバムで聞くことが出来る。
また、ジョンから周回遅れのポールの音楽的成長がAnd I love herと今日の誓いなどで見られる。
しかし、一つ聴き所は何かといわれれば、ジョンの音楽的絶頂と内面の確執、この微妙なズレだと思われる。
A Hard Day’s Night ★★★★★ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/4/16 ●邦題「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ」の名付親は当時ユナイト映画宣伝部水野晴男氏というのが定説。
●タイトルはリンゴが文法を間違えてつぶやいた一言(いわゆるリンゴ語)から。
●トヨタ・ラクティスのCMにカヴァーバージョンが使用される。
ビートルズが一番ノッていた時代の代表曲。オープニングのジャ~ン♪が特に有名だが、どのように弾いているのかはいまだ定説がない。
少年時代にこのコードを一生懸命練習したゲイリー・ムーアがのちにジョージに会ったとき、ジョージが弾いて見せたコードに対して「それは違う」と指摘したという話もある(「愛の事典」より)
家に帰ったら君が待ってるパターンは、この曲の他、When I get home、Wait(ラバーソウル収録)と続く。人呼んで「帰宅三部作」だ。ただ、この三曲、微妙に進化が見られるところが面白い。
When I’m home feeling you holding me tight(A Hard Day’s Night) 家に帰ったら、いつでも君が抱きしめてくれる I got a whole lot of things to tell her, When I get home(When I get home) 家に帰ったら、彼女に話すことが山ほどある Wait till I come back to your side We’ll forget the tears we’ve cried(Wait) もうすぐ帰るから待っててくれ 涙を流したことは忘れてしまおう
時間がたつと男と女の関係も成熟してくるということか。それにしてもA Hard Day’s Nightの時代がいいよな。
楽曲的には、この曲の疾走感がたまらない。ジョンとポールのボーカルが入れ替わるところなんか最高。
I Should Have Known Better ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/2/26
●邦題は「恋する二人」 。
Should have + 過去完了形 ってやったな「~すべきだったけど、しなくて残念!」ってヤツだよな。 「ドラゴン桜」って漫画でエアロビやらせながらビートルズを暗記させる英語の先生がいたが、この歌なんかいいな。毒が無くて。
間違ってもCome togetherやHappiness is a warm gun は勉強にならんからやめとけ。あと、時間の無駄だから、Revolution 9とかFlyingとかもNGね。
ジョンにはめずらしく、屈託の無いラブソング。
If I Fell ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1964/2/27 ●邦題は「恋に落ちたら」。
●映画では、ジョンがリンゴを励まそうと演奏をはじめる。
この曲におけるジョンとポールのハモリは最高だと思う。感性一発でキメたみたいな感じでどっちが上でどっちが下なのか、あれ、今、上だったジョンが下になったみたいな感じで、素晴らしい。
If I fell in love with you Would you promise to be true 僕が君と恋に落ちたら裏切らないと約束してくれる?
I’m Happy Just To Dance With You ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=George 収録日=1964/3/1 ●邦題は「すてきなダンス」。 ジョンの曲だが、敢えてジョージに歌わせる。だって歌詞がこんな感じだからね。
I don’t need to hug or hold you tight キスしたいとも手を握りたいとも思わない ‘cause I’m happy just to dance with you 君と踊っていれば幸せなんだ
「家に帰ったら、いつでも君が抱きしめてくれる」ってA Hard Day’s Nightで歌ってるんだから、ここで今さら、ダンスだけでいいとは、ジョンも歌いにくかったんだろうな。
と同時に、ビートルズの4人に対して、ある程度、キャラをプロデュースしようっていうエプスタインの意図も感じるな。レノン=マッカートニー作でもう1曲ジョージが歌う「Do you want to know a secret」も「僕の秘密知りたい?誰にも言わないって約束する?じゃあそばに来て。実は君が好きなんだ。」とこんな感じ。この「すてきなダンス」と共通しているよね。ジョージは明らかに奥手の坊やってキャラをやらされている。ジョージハリソン=奥手男プロデュース計画の第3弾だ。
And I Love Her ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/2/27 ●映画の中ではテレビ中継のリハーサル場面で演奏風景で流される。
初期ビートルズを代表するバラード。高校の時、バンドで演奏したな。僕はドラムやってたんだけど、リムショットってのがちょっと退屈だったな。
この頃では随一。ポールの秀作。
Tell Me Why ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/2/27 ●ジョンが映画用に急遽書いたといわれている。
歌詞的に言えば、なんとなく、If I fellの後日談といった趣き。裏切らないって約束した(約束させられた?)女の子がしでかしたなんらかの裏切りをした。それを攻める男の歌だ。
Tell me why you cried, and why you lied to me なぜ泣いたのか、なぜ嘘をついたのか 言ってみろよ
If there’s something I have said or done, tell me what and I’ll apologize,
if you don’t really can’t go on, holding back these tears in my eyes なにか気に障ることがあれば言ってくれればすぐに謝るよ
でないと泣き崩れてしまいそうだ こみあげる涙を必死にこらえる僕
曲の勢いと歌詞の情けなさ、これがこの歌のポイントだ。
Can’t Buy Me Love ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/1/29,2/25 ●サビからはじまるというアイディアはマーチン。さすが辣腕プロデューサ。
ジョンとポールのA面獲得3大名勝負。第1ラウンドが、このCan’t buy me love VS You can’t do thatだ。
「愛は金じゃ買えない」と屈託無いポールと、「お前があいつと話してるのを見たらコテンパンにしてやる」と暴力的なジョン。当時のエンドユーザーの嗜好を考えればやっぱりプロデューサならポールを選ぶよな。で大ヒット。
ちなみに、A面獲得3大名勝負。
第2ラウンドはHello Good Bye VS I am the Walrus。この時も超シンプルでポップなポールのHGが難解で超個人的なジョンのWalrusを蹴落としてA面を獲得。大ヒット。そして、 第3ラウンドがHey Jude VS Revolution。優しさに溢れたHey Judeが、「毛沢東の写真を持ち歩いているようじゃ革命なんておぼつかない」と嘯くRevolutionを押しのけてA面を獲得。大大大ヒット。
ただ、時の流れというのは、因果なもので、現代ではそれぞれ、You can’t do that、I am the Walrus、Revolutionの方が魅力的に感じる。僕にとってということだけどね。
この曲を歌う時のビートルズのモップ頭振りのかわいさが忘れられない。
Anytime At All ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1964/6/2,3 ●Anytime At Allのシャウトを3回繰り返すが、2回目はポール。 Any time at all, all you’ve gotta do is call and I’ll be there いつだってかまわない いつでもいいから、好きなときに電話を送れよ。すぐそっちに行くよ
こういう何気なく作った曲にジョンレノンの真実があらわれるものだ。
3大話風に展開させてみるとIf I fellで「僕が君と恋に落ちたら裏切らないと約束してくれる?」って保険をかけて恋をはじめる。 Tell me why で「なぜ嘘をついたのか 言ってみろよ」と保険もむなしく彼女の行為に傷つく。
そして、Anytime At Allの恋ではより慎重に、電話をしてくれたら(あくまで電話をしてくれたら)そっちへ行くよと、なるべく傷つかないように自分を守ようになる。また保険をかけたのだ。人はこれらのストーリーを保険系と呼ぶ。
And when I do you’d better hide all the girls,
‘cause I’m gonna break their hearts all ‘round the world.
Yes, I’m gonna break them in two, そのときは、女という女を隠しておかないと
世界中の女の心を傷つけてやる
ハートを真っ二つに引き裂いて恋に狂った男のパワーを見せつけてやるんだ。
If I fell 、Tell me why 、Any time at allの3大話には、続きがまだあった。
Things We Said Today ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/6/2,3 ●邦題は「今日の誓い」。
●1989年、1990年の世界公演旅行でポールが演奏。
ジョンの「傷つきたくないでも恋したい」っていう恋愛感情に対して、あくまでも自身満々で前向きなポール。
Someday when we’re dreaming, Deep in love, not a lot to say.
Then we will remember The things we said today いつか言葉もいらないくらいほど深い愛し合い
一緒に夢見る日がきたとき 僕らが思い出すのは二人が交わした今日の誓い
When I Get Home ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/6/2 ●邦題は「家に帰れば」。
ジョンはこの時期、この帰宅系(早く家に帰りたいという心情を歌った系統)の曲と保険系(条件をつけながら、求愛する系統)の2つの系があるが、これは、勿論、帰宅系。「帰宅三部作」の2作目だ。
You Can’t Do That ★★★★★ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/2/25 ●リードギターはジョン。 ●シングルA面をCan’t buy me love と争う。 (歌詞が過激すぎたためと言われている)
ジョンの3大ギターソロのうちの1曲。残りはHoney pieとGet back。このかき鳴らすようなギターソロは、The Endの名演とも通じる。
中山康樹氏をして「すべて完璧」と評したこの曲。不思議なのはこの曲が孤高だって事。ビートルズナンバーで、音楽的にこの曲の路線で続く曲が俺にはみあたらないのだ。ストーンズなんかの方がこれに近い路線になっていくと思われ。
歌詞的に言えば、しつこいようだが、保険系のIf I fell 、Tell me why 、Any time at all、I’ll Cry Insteadにまだ続きがあった。男はさらにモンスター化して帰ってきたということか。おそろしいジョン…
I got something to say that might cause you pain,
If I catch you talking to that boy again,
I’m gonna let you down,
And leave you flat, Because I told you before, oh, You can’t do that. ご機嫌をそこねるかもしれないが 言っときたいことがある
あいつとは二度と口きくんじゃない
今度見つけたらとっちめてやる
コテンパンにしてやるからな
前にもはっきりいったはずだ そんなことするなって
この曲をナンバー1に推す人も多い。通好みの1曲。僕も好き。
I’ll Be Back ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/6/1 ●ジョンが父親・フレッドに宛てた歌。
You know if you break my heart I’ll go, But I’ll be back again 僕を悲しませるなら出て行くよ でもまた戻ってきちゃうだろうな
Always, no sometimes, think it’s me, but you know I know when it’s a dream.
I think I know I mean a ‘yes’ but it’s all wrong, that is I think I disagree. これが僕だといつも、いや時々思う けれどそうなんだ。それは夢かもしれず…
そのつまり、“そうだ“と言っても それはみんな間違いで…
結局僕は同意してないんじゃないかと思う
また一番、有名な優柔不断といえば、Revolution1のそれだ。
We all want to change the world
But when you talk about destruction
Don’t you know you can count me out in 誰だって世の中を変えたいと思ってる
だけど、破壊行動に頼りたいというのなら
僕は加担する気はない、いや、ある
この3曲(I’ll Be Back、Strawberry fields forever、Revolution1)をジョンの優柔不断三部作と呼びたいな。
疲れてくると段々手抜きとか惰性とかが見られてくるのが普通だ。しかし、このアルバムには、それどころか、新しい楽器(ティンパニー、アフリカンドラム等)への挑戦、新しい詩の境地が見られる。
人気の絶頂にありながら、No Replyではストーカーのような姿をさらし、I am a loserでは負け犬と自分を断じる。その内面の絶望は普通だったら、ユーザーのニーズからかけ離れたものだと思うんだが、この作品も売れに売れてしまう。
ジョンの音楽的絶頂は続いているのだ。
No Replay
★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/9/30 ●もともとトミー・クイックリーのために書いた曲。 ジョンが始めて書いた物語風の歌詞。でもポールのそれとは違って、(I nearly died)死ぬほどつら~いっていう暗い歌詞。別の男と手をつないで家に帰ってきたのを目撃、その娘の部屋に明かりが点いている。ところが、電話をしても「娘はおらん」と言われたジョン青年。絶望的になってもしかたがない場面ではある。
I’m A Loser ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/8/14 ●ジョン自身ディランの影響を受けたという公言する曲。 ジョン自身、「僕のディラン時代の曲だ。僕の中のある部分は自分を負け犬だと思っていて、別の部分では全能の神だと思っている。」との述べている。でもさ、ビートルズとして人気絶頂でさ、お金も名声もなんでも手中に収めたジョンが歌うっていう落差が凄いよね。ジョンよ、お前が負け犬だったら、僕はどうなっちゃうんだ。なんか共感できるようなできないような曲。No Replyは結構共感できるんだけどね。
歌詞では次のところが好きだな。
Although I laugh and I act like a clown
Beneath this mask I am wearing a frown
My tears are falling like rain from the sky ピエロみたいにはしゃいでいても
この仮面の下には不機嫌な顔が潜んでいる
雨のようにとめどなくこぼれる涙
この曲を聞いたあとで、ヤァヤァヤァとか四人はアイドルとか見ると、とっても痛いよね。
さて、この部分の My tears are falling like rain from the skyですが、普通だったら、上記の訳なんだろうけど、僕は敢えて、「空から雨のようにこぼれる僕の涙」と訳したい。なんだか空いっぱいにある巨大目、ダリの絵のような風景を想像しちゃいます。
Baby’s In Black ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1964/8/11 ●ジョンとポールが最初から最後まで二人で歌うのはこの曲だけ。 Baby’s in black and I’m feeling blue あの娘の黒い服が僕をブルーにさせる(内田久美子訳)
Rock And Roll Music ★★★☆☆ ◆(Chuck Berry) V=John 収録日=1964/10/18 ●日本ではシングルカットされ大ヒット。
●チャックベリーの1957年の曲のカヴァー。 日本武道館での東京公演でジョンが一発目に弾いた曲。僕はその昔、記録映画とかでみて、最近、アンソロジーDVDで見た。
結構つらい演奏(アンソロジーでも演奏がひどくなってきたっていう流れの中で東京公演の映像が使われてたけどね)だ。レコードのこのバージョンにしたって、たしかに、Twist & Shoutのような盛り上がりがなくて、繰り返し。
僕は、ジョンがこの曲大好きってことが伝わってきて、好きだよ。ただし、ビートルズのベストって推すのはつらいかも。
I’ll Follow The Sun ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/10/18 ●ポールが10代の頃にひとりで作った曲。 But tomorrow may rain, so I’ll follow the sun でも、明日は雨になるかもしれない だから僕は太陽を追っていく
Mr. Moonlight ★★★☆☆ ◆(Roy Lee Johnson) V=John 収録日=1964/10/18 ●ビートルズ東京公演の番組で羽田からの高速を走る車の映像のBGMとして流れたことで有名。
●アフリカンドラムを叩いているのはジョージ。 ジョンの「前奏なしの歌いだしベスト3」のうちの1曲。
ちなみに、その他の2曲は、Nowhere manとIf I fell。
ビートルズの大ファンで自身、カヴァーアルバムも出しているつんくが同名の曲をモーニング娘。に歌わせているよね。ちなみに、つんくは、後藤真希の「今にきっと ~In my life」とか、これもモーニング娘。の「恋愛レボリューション21」とか、エコモニ。の「Help!!暑っちい地球を冷ますんだ」とか、「浮気なハニーパイ」カントリー娘。 に紺野と藤本(モーニング娘。)とか、ビートルズを想像させるタイトルが結構あるんだよ。
Eight Days A Week ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1964/10/6,18 ●ポールが何気なく聞いた運転手の「忙しいかって? 1週間に8日働いてるよ」っていうセリフよりこのタイトルは生まれたという。(今ごろ、その運転手はどうしているんだろう)
五月みどりに「一週間に十日来い」という歌がある。このEight Days A Weekからヒントを得た作られたと思いきや、実は、「一週間~」の方が早いんだよね。記録によると1963年の紅白歌合戦でこの曲歌ってるんだもの。邦題をつけた人が「一週間に8日来い」ってタイトルにしなかった事を感謝するね(笑)。
曲としては、フェードインのイントロっていうのが面白い。
「Beatles1」にも収録されているんだから、ヒット曲なんだろうけど、まぁ、他の曲が凄すぎて…
Words Of Love ★★☆☆☆ ◆(Buddy Holly) V=John,George 収録日=1964/10/1 ●ビートルズの面々が敬愛するバディ・ホリーのカヴァー曲。 パチパチっていう手拍子みたいな音が全編流れているが、これが「パッキングケース」っていう楽器か、それとも普通に手拍子かで議論がわかれている。僕はパッキングケースという楽器を知らないが、難しいものなのか?開始から59秒位で、このパーカッションが一旦止まるはずだが、惰性で数回鳴っているところを見るとそれなりに技術が必要な楽器なのか。手拍子だとすると、全拍にわたって手拍子し続けるってのもなんだかなぁという気もする。
Rock on George for Ringo, one time リンゴのために、一発かましてくれジョージ!!
この曲はリンゴとジョージの友情ソングだね。
Every Little Thing ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日1964/9/29,30 ●ティンパニーを使用。
●ジョージがレコーディングに遅刻してジョンがリード・ギターを弾いたと言われていたが、実はそれがデマだという噂も。 Every Little Thingっていう同名のグループがあったけど、このビートルズの曲名から名前を拝借したかどうかは不明。その昔このELTってのは、卑猥語だって聞いたことあるけど、それも確かかどうか不明。何かと謎の多い名前だ。
注目は冒頭の歌詞
When I’m walking beside her People tell me I’m lucky あの娘と歩いていると運がいい奴と言われる
I Don’t Want To Spoil The Party ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/9/29 ●邦題は「パーティはそのままに」 。
No Replayに続き、シチュエーション失恋ソング。ただ、No Replyほどの説明や、展開は無い。ようするに、「パーティに行ったら、彼女がいないから、俺帰るよ」って曲。多分、これって洋風の立食パーティなんだろうな。Free as a birdの象が歩いてるパーティシーンはこの曲が念頭にあるんだろうね。そんなパーティで主観的に浮いてるジョン、僕は帰るからみんなはEnjoy yourself してよって感じ。大人力ないぞ。ジョン!!
ここで、ちょっと思いついたんだけど、この曲以外で、ビートルズの歌の中には酒ってあんまり出てこないよね。WineがWhen I’m 64とかHer majestyとかにちょっと出てくるけどさ、例えば、ビリージョエルの「ピアノマン」みたいな感じで酒場のリアリティを歌い上げるって曲はない。それがビートルズの曲の特徴のひとつでもあると思うんだがどうだろう。
For SaleのB面ってかなりハンディのある場所におかれているけど、曲や演奏はそれなりにGoodだ。
ジョージのソロはどことなくシタールの音に近いような気がする。ジョージへのインドへの傾倒の伏線みたいな曲でもある。
このLPのこの面では一番冴えてる名曲。
What You’re Doing ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1964/10/26 ●リンゴのドラムにティンパニーがかぶせてある。
ビートルズで最も地味な曲。埋め草として作ったらしい。
Everybody’s Trying To Be My Baby ★★★☆☆ ◆(Carl Perkins) V=George 収録日=1964/10/18 ●邦題は「みんないい娘」。
●カール・パーキンスのカヴァー。
The Night Before ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1965/2/17 ●映画では原っぱでの演奏シーンに流れる。 ポールの軽快なロックナンバー。映画では、実物の陸軍第3師団の砲兵、機関砲兵、騎馬砲兵隊なんかが現れて最後は、大爆発する。その時のこの曲って全く意味は無い。
この頃のポールの標準的な曲かな。
You’ve Got To Hide Your Love Away ★★★★☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/2/18 ●映画では、部屋の中でのシーン。フルート奏者はビートルズ始めての外注ミュージシャン。 ●邦題は「悲しみはぶっとばせ」 。
ジョン自身、ディランの影響を受けたというのがこの曲。注目は次のフレーズ。
Everywhere people stare each and every day
I can see them laugh at me 毎日どこへ行っても みんながじろじろと見る
僕をからかいながら
1)You can’t do that You talking that way They’d laugh in my face ほかの男といちゃついていたら俺が笑いものになるんだぜ 2)I’ll cry instead Don’t want to cry when there’s people there,
I get shy when they start to stare 人前では涙を見せたくない じろじろと見られたら決まりが悪いからね
ジョンが段々と、自分の世界を作っていく過程の曲。ディランの影響か?
I Need You ★★★☆☆ ◆(George) V=George 収録日=1965/2/15,16 ●ジョージ2曲目のオリジナル曲。
●ギターは、ボリュームペダルを使っている。
さらに、いえば、このちょっと遅れるっていうのって、ジョージのギターソロのひとつの特徴でもある。僕がベストだと思うビートルズ時代の彼のギターソロは、アビーロードのB面のPolythene PamとShe Came In Through The Bathroom Windowのつなぎとところなんだけど、そのソロも遅れるような遅れないような微妙な間がいいんだよね。
I ain’t no fool and I don’t take what I don’t want 欲しくないものを選び取るぼどバカじゃない
おいおい、これが別れを切り出す時に使うセリフですか、ポール。僕には別の女が出来たんだ。しかもその女は、(Nobody in all the world can do what she can do世界中の誰も出来ない事をしてくれる)なんだって、そしてそれは何をしてくれるかって言えば、
For I have got another girl. Another girl.
Who will love me till the end.
Through thick and thin
She will always be my friend. 死ぬまで僕を愛してくれるような娘さ。楽しいときも苦しいときも彼女はいつだって僕の友達さ
If you don’t take her out tonight, she’s going to change her mind,
and I will take her out tonight, and I will treat her kind. You’re going to lose that girl 今夜デートに連れ出してやらないと彼女は心変わりしちゃうよ
代わりに僕が彼女を誘い出して やさしくしてあげるんだから
友情とみせかけながらしかし、下心、ってところが面白い。ビートルズのお茶目なところが出てるよね。
最も、「Help!4人はアイドル」的な爽やかな曲。日本での人気あったんだよ。
Ticket To Ride ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/2/15 ●邦題は「涙の乗車券」。 ●リードギターはポール。
1)She don’t give boys the eye 彼女は他の男には見向きもしない (She is a woman)
2)And if somebody loved me like she do me もし、彼女のように愛してくれる人がいたとしても(Dont’t let me down)
3)She don’t care 僕の気持ちも考えずに(Ticket to ride)
It’s Only Love ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/6/15 ●ジョンが後に一番嫌いな曲と非難。
ジョンが後に嫌ったというこの曲。多分、歌詞が他愛もなかった事がその理由だった。確か、ジョンレノンミュージアムにこの歌詞の草稿が残っていて、語呂のあう単語がいっぱい書いてあったような。それを見たとき、結構大変な作業だな、って思ったよ。でもそれでもピタってこなかったんだろうな。確かに以下のところはちょっとどうかなって思わなくもなくもない。
Is it right that you and I should fight every night?
Just the sight of you makes nighttime bright, very bright. 毎日喧嘩するなんてこんなことでいいんだろうか。
君がいれば夜の闇も真昼のように明るく輝きだすんだ
rightとfight と night と sightと(また)nightとbrightこれらが、語呂あわせになってるんだけど、ここの[fight every night]ってのが、ジョンにとってあまりにもリアルな感じがして嫌だったんじゃないかな。
あくまでこれは僕の邪推だけど、ジョンって正直だから、その後に自分の以前の暴力行為に対して相当な嫌悪感を持ったんだと思うよ。だから、Run for your lifeにしたって、And your bird can singにしたって、そういう他人に対する非難とか暴力を感じさせるような曲は嫌だったんじゃないかな。自分の汚点としてさ。
You Like Me Too Much ★★★☆☆ ◆(George) V=George 収録日=1965/2/17 ●ポール、ジョージマーティンがピアノ、ジョンがエレピを弾く。 オープニングとエンディングがマーティン、間奏のギターとの掛け合い部分はポール、歌の伴奏部分はジョンという具合にそれぞれがピアノを弾いているらしい。確かに、上手さはマーティン、ポール、ジョンの順番だ。特にオープニングとエンディングのピアノの力強さは、なかなかのもの。逆に伴奏ピアノ(エレピ)はなんとなく弱弱しい。
Tell Me What You See ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1965/2/18 ●ギロの演奏はジョン。 こういう渋い曲を2人でさらりとハモりながら歌いたいものである。
さて、この曲の特徴つけているのはジョンが弾く「ギロ」である。
奥田民夫プロデュースの「これが私の生きる道」は、Twist&Shout、She loves you 、Nowhere man、Please please me、Day tripper等がちりばめられていてるが、ギロを使った部分はこの曲からの引用なんでしょうか。それもあやしいくらいこの曲は地味だ。おそらくこの曲は、What are you doingやI’ll get youと並んでビートルズの中でもかなり話題にされることの無い歌だと思うよ。これは。
嫌いって言うんじゃないけど、好きでもないってポジションの曲。
I’ve Just Seen A Face ★★★★★ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1965/6/14 ●邦題は「夢の人」 。 ポールがウィングス時代にもよくライブでやった曲だ。Wings over Americaでも演奏されている。3人によるアコスティックギターの共演。これが、3年後位だったら、ポールひとりで録音しちゃっただろう可能性の高い曲。いつも間にかカントリーのスタンダード曲になってしまっているところが、凄い。この曲は歌詞を覚えるとカラオケ楽しい曲だ。
そういえばイルカ(日本のフォークシンガー)に夢の人ってアルバムがある。イルカさんもビートルズ好きなんだろうな。このアルバムの一曲目がラバーボールだもんな。
歌詞は結構普遍的な一目ぼれの歌だな。まるで電車男のようにシャイな男の一目ぼれ。これってポール自身じゃないことは断言できる(笑)。どっちっかって言えばジョージっぽい歌詞だよね。
そのあたりを紹介してみましょう。
I have never known the like of this,
I’ve been alone and I have missed things and kept out of sight
But other girls were never quite like this こんなの生まれて初めてだ
ずっとひとりぼっちで損ばかりして
隅のほうにちじこまっていた僕
彼女のような娘はどこにもいなかった
僕の妄想だと、この青年と彼女は、Drive my carで不釣合いな付き合いをはじめる。ここでスターになることを夢見る彼女はアメリカに渡り、大スターに。Honey Pieで悲しいオチを迎えるんだ(笑)。
そして、このポールの「神からの曲授かり体験」に対して、最も嫉妬を感じたのはジョンだった。逆にジョンは明け方5時間位、自然に曲が湧いてくるのを待ったけど、出来なくて、あきらめた瞬間にNowhere Man が出来たっていうエピソードがあるよね。このNowhere Manだって相当な曲だと思うけど、寝て起きたら、頭の中にっていうのとはちょっと違う。このNowhere Land(空想の世界)にいる男ってのは、ポールの事だってジョンは言ったらしい。それほど、ポールのYesterdayを意識していたって事だと思うんだけどさ。
後のジョンの「ビートルズはキリストより有名発言」の伏線はYesterdayを作ったポールに対する嫉妬にありと僕はにらんでいる。「何で神は俺にそういう体験をくれなかったんだ」っていう逆恨みさ。
でも、後に、ジョンはAcross the Universeの詞で同様の体験をする。でも、その時の神はキリストじゃなくてインドの神様なんだろうな。OM。
「ラバーソウル」のテーマは成長、そして男と女だ。今までのラブソングはストレートな心情を吐露するものが多かったが、このアルバムからはそんな自分の姿を客観的に捉え、物語として、そして哲学的に表現するような曲が増えていった。
「ラバーソウル」の曲を、無理矢理に分けるならば、初期の尻尾のようなものを感じるのが、You won’t see me、消えた恋、君はいずこに、Wait、浮気娘、If I Needed Someoneなど。次の時代を予感させるのが、Drive my car、ノルウェーの森、ひとりぼっちのあいつ、Girl、The Word、In my life、Michelle、嘘つき女かな?
Baby you can drive my car
Yes I’m gonna be a star
Baby you can drive my car
And maybe I love you ベイビー あたしの運転手にしてあげる。
ええ あたしはスターになるの
そしたら あんたを運転手に雇ってあげる
ついでに愛してあげてもいいわ
ようするにこの男は、アッシー君(これって死語?)ということだ。女は言う。
Working for peanuts is all very fine
But I can show you a better time あくせく働くのも悪かないけど
もっといい暮らしをしたいと思わない?
And she said listen baby I got something to say
I got no car and it’s breaking my heart
But I’ve found a driver and that’s a start ちょっと待って 断っとくけど
情けないことにあたし まだ車を持っていないの
でも まずは運転手が見つかったものね
Norwegian Wood ★★★★★ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/10/21 ●ノルウェーの森という邦題は実は誤訳。正しく訳すとノルウェー製の家具となる。
●村上春樹の「ノルウェーの森」はこの曲のタイトルからとっている。
●ジョージがはじめてシタールを使用した曲。 Drive my carがポールの物語だとすれば、このNorwegian Woodはジョンの物語だ。
この歌に出てくる女の子はどこかミステリアスだ。部屋にはイスがないっていうのがそのことの暗喩になっている。男がどこに腰を下ろしたらいいかわからない部屋=男がどういったスタンスを取ればいいのわからない女ということだ。
(ちなみに、別解釈として、また、イスがなくてどこに座ったらいいのかわからない男=Nowere man ということもできる)
ワインを飲みながら話し込む2人。時刻は、深夜の2時。彼女は「明日、朝から仕事なの」って一人で寝てしまい、男は一人ぼっちになり、こそこそBathで寝る。そして次の日の朝、起きてみると彼女は既にいない。男は一人、火をつける。
And when I awoke
I was alone, this bird had flown
so I lit a fire
isn’t it good, Norwegian wood 翌朝 目を覚ますと僕ひとり
かわいい鳥は飛んでいってしまった。
僕は暖炉に火を入れた。
いいじゃないか ノルウェーの森
さて、一人残された男は一体何に火をつけたのか。
説1暖炉
これは、上記の内田久美子の訳。そのまま。一番正当で無難な訳だな。綺麗に纏めたって感じだ。 説2マリファナ
この時期のビートルズの言動を見てみると一番リアリティがあるよな。実際僕が高校位の時(70年代後半)には、そういった論評が主だったな。 説3家
ポール曰く「彼女は自分から男を招き入れておいて、『お風呂場で寝てちょうだい』と言うんだよ。僕らの考えでは、男は何かしらの復讐をするべきだった。『暖を取るために火をつけた。なんて素敵な部屋だったんだろう』という解釈も成り立つかもしれないけど、実はあれは復讐として燃やしてしまったんだ。」物語志向が強く、オチ好きのポールらしい解釈だ。
ちなみに、僕は、にTwo of usで「You and me ,burning matches (君と僕 マッチに火をつける)」っていうところは、もともといた家を燃やすって事だと思っている。
また、このNorwegian woodで面白いエピソードがある。もともとジョンは、この歌のタイトルをKnowing She would にするつもりだったという。そうすると、「isn’t it good, Knowing She would」は、「彼女とヤレるのを知っているってことはいいことじゃないか」っていうような意味になる。で、それだとアメリカで発売するのに、倫理的(?)にまずいってことで修正を迫られた。プライドの高いジョンは発音が酷似しているNorwegian woodというタイトル名をその場でつけたっていうんだな。っていうことになると、次の1行は別の解釈になるはずだ。 sleep in the bath
You Won’t See Me ★★★☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1965/11/11 ●ビートルズではじめて3分を超えた曲。 女に翻弄される男。「ラバーソウル」の冒頭3曲ともそのテーマはこれだ。特にこの曲は、ポールの、思うようにいかない女に対するイライラを歌にしている。 そこがこの歌のリアリティにつながっているんだね。
Back in the U.S.S.R.でホテルについてすぐに電話線を抜いた男。ポールの電話嫌いはこの歌にも現れている。
コーラスワークがすべての曲。カラオケで歌っても楽しい曲だ。
Nowhere Man ★★★★★ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/10/22 ●ビートルズで初めて、女とか恋とかが出てこない曲 。
●邦題は「ひとりぼっちのあいつ」 。
●Nowhere man(行き場の無い男)は、同時にNow here man(今、ここにいる男)になる。 Nowhere man、自分が何処に所属しているのかわからない男、自分が何処から来て、何処へ行くのかが不安な男、アイデンティティクライシスに直面する男。
Isn’t he a bit like you and me? 君や僕だって、どこかあいつに似ていないかい?
With a little help from my friendのこの大事なものっていうのもマリファナだ。さぁ、「電気を消してこれからパーティさ」みたいなノリじゃないのかな。
実験的なファズベースが印象的。その印象に隠れがちなんだけど、本当にいい曲なんだよね。
The Word ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/11/10 ●邦題は「愛のことば」。 ポール曰く「マリファナを吸った後に、色付きの歌詞カードを作った。初めてのことだよ。曲作りの最中にはマリファナをしないのが普通だったから。頭が鈍って、曲作りの邪魔になるからね。でも、このときは色を塗ったんだよ。」
このポールのセリフがこの曲をとく鍵だな。
Say the word and you’ll free Say the word and be like me あの言葉を言えば自由になれる
あの言葉を言って僕みたいになれよ
同様にこのMichelleも人気投票でもあんまり上位に来ないな。最近は。Happiness is a warm gun なんかに比べるとよっぽど、まともな曲なんだけどな。なんせグラミー賞の作曲賞だからな。
甘いメロディ(ポール)と渋いメロディ(ジョン)があまりにも自然に結合。
What Goes On ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney Ringo) V=Ringo 収録日=1965/11/4 ●邦題は「消えた恋 」。
歌詞を見ると、これが結構典型的なジョンの歌詞パターンの一つなんだな。
The other day I saw you As I walked along the road
But when I saw him with you I could feel my future fold こないだ道を歩いていて君を見かけた
ほかの男と一緒だったね
目の前が真っ暗になったよ
君は平気で嘘をつける女なんだ
これは、You can’t do thatやNo reply、Run for your life(浮気娘)で見られる以下のフレーズと通底している。
You can’t do that
Well, it’s the second time, I’ve caught you talking to him
Do I have to tell you one more time, I think it’s a sin お前が奴としゃべっているのを見たのはこれで二度目だ
またいつかみたいに許せないと言わせる気かい
No reply
I nearly died, I nearly died
‘Cause you walked hand in hand With another man in my place 死ぬほどつらかったよ
だって君は他の男と手をつないで帰ってきたんだから
Run for your life(浮気娘)
Well I’d rather see you dead, little girl
Than to be with another man お前が別の男といるのを見るくらいなら
いっそ死んでくれたほうが気が楽だ
この曲は、男を振り回す強い女を歌っている。しかし、この歌が他のラブソングと一線を画すのは以下のような4番の歌詞があるからだ。 Was she told when she was young that pain Would lead to pleasure?
Did she understand it when they said 苦しみは喜びに通じると子供の頃に教わったのか
その意味がちゃんとわかったんだろうか
僕はこの曲の歌詞の肌触りはどことなく、Yesterdayとかに通じるものがあるような気がする。上手く言えないのだが、ジョンの曲は気の効いた言い回しや、うじうじした内面や、暴力的な本音が、どっかに見られるんだけど、この歌詞にはそれが見られないよね。
逆にすごく論理的な構造が見られる。だから、In My Lifeのすくなくとも詞はポール主導じゃないかと思うわけです。でも、もともとのコンセプトはジョン、だからジョンがメインボーカルをつとめたんじゃないかな。まぁちょっと100%確信があるってわけじゃないけどね。
似たコンセプトの曲にWhen I get home(家に帰れば)とA hard day’s nightがある。ただ、以前の2曲に比べると、愛情の激しさは感じられない。ジョン、年輪を重ねたな。っていうか、ジョン冷めたな。
But if your heart breaks
Don’t wait, turn me away もしも孤独に耐え切れないなら無理して僕を待つことはない
また、下の部分はシンシアとの結婚生活が頭をよぎってるんだろうな。
We’ll forget the tears we’ve cried 涙を流したことは忘れてしまおう
ジョンは家庭では相当、シンシアにつらくあたったりして、自分も悲しんだっていうからね。
ラバソの中では最も地味な曲。
If I Needed Someone ★★★☆☆ ◆(George) V=George 収録日=1965/10/16,18 ●東京公演でも披露。
●邦題は「恋をするなら」 。
楽曲的にはあの12弦ギターのイントロがカッコいいよね。
本命の彼女がいるんだけど、別の女の子をいかにキープするかって歌だっていったら身もフタもないかな。
注目は以下の歌詞
Carve your number on my wall
And maybe you will get a call from me
If I needed someone 電話番号を壁に刻んでおいて
ひょっとしたら電話するかもしれないよ
誰か相手がほしくなったら
これって言われて嬉しい人いるのかな?わからんが。
ここまでのジョージの最高傑作。
Run For Your Life ★★☆☆☆ ◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/10/12 ●邦題は「浮気娘」。
かなり身勝手なジョンの歌。
You better run for your life if you can, little girl
Hide your head in the sand little girl
Catch you with another man
That’s the end’a little girl 一目散に逃げ出すこった
できるもんならな リトルガール
浮気現場を抑えたらお前を生かしちゃおかないぜ
60年代っていうのは、こういう歌もありだったのかと思わせるくらい高圧的な歌詞だ。 run for your life のところを普通に訳すと 「命のために逃げ出せ」だからね。
でも歌詞をよく読んでみると決して、彼女は浮気したわけじゃなくて、もし浮気をしたらってこと。
すなわち脅迫なんだよね。
訳者の内田久美子さんも困ったんだろうね。主人公のキャラクタが江戸時代の魚屋みたいになってる Let this be a sermon