ノアのテレビ中継打ち切りは残念の一言だ

ノアのテレビ中継が来年3月で打ち切りになるという。

全くもって残念なことだ。
これで、プロレスと世間との間にあった橋がまた一つ落ちた。
日曜日の深夜でもいい。何気なくつけたテレビに、映ったレスラーたち。
それを見て、プロレスって案外面白いじゃないかと言って、ファンになるような人たちがまた減ってしまう。

しかし、そこまでプロレスというジャンルが世間に対してインパクトを与えることができなくなってしまったのか。
プロレス側にも問題があるようにも思えるが、それはここでは書かない。あまりにも悲しくなってしまうからだ。

問題はテレビ局にもある。力道山時代から、常に優良コンテンツとして、ある時期、テレビ局自体をも支えてきたプロレスを切ってしまってよいのか。
ここに至るまで、番組関係者も大いに悩んだことだとは思うが、それが社内的な経費削減、制作費見直しの中から出てきた話であれば、それはそれで寂しいことだ。
実を言えば、最近は、プロレスファンの僕でさえ、ノア中継を見なくなっていた。
勝手な言い分だが、それでも、毎週放送していてくれているということが大事だったのだ。

思えば、プロレス中継は若手アナウンサーの登竜門的な場所でもあった。
全日本プロレス中継は、徳光さん、福沢さんという、その後、プロレス中継を卒業しても立派にやっていけるアナウンサーを輩出した。
勿論、松永さん、倉持さん、若林さん、金子さん、野口さんも覚えていますよ。
ちなみに、一方の雄、ワールドプロレスリング(新日本プロレス中継)からは、あの古舘さんが出ている。

虚実の皮膜から立ち上がってくるリアリティを感じ取り、それを活きた言葉にして我々に伝えてくれたあのアナウンサー達の修練の場がまた一つなくなってしまうのかという、テレビ側からの哀愁の情もあるんではないでしょうか。

それにしても、今、こうして中継が打ち切られると知ると、過ぎ去りし日の記憶がまたよみがえってくるのもプロレスファンとしてのさが(性)なのだろうか。

初めてタイガーマスクとして徳光さんに紹介されてコーナーポストの上に立った蔵前国技館。
そのタイガーがマスクをかなぐり捨てた東京体育館。
若き日、輪島のつき人として、タイガージェットシンのサーベルの餌食になっていた小橋健太。
同じく、猛然とハンセンに突っかかっていったのも彼だった。
天龍同盟のセコンドについていた華麗な少年・小川良成。
ジャーマンが下手なアマレス王者、異形の実力者・本田多聞。
その他、泉田、百田、田上、森嶋、力皇、菊池、井上、秋山、丸藤、杉浦...と思い出のレスラーは尽きない。

引退(または死亡)しちゃったけど、永源、大熊、ラッシャー、石川、輪島、阿修羅、馬場、小鹿、羽田、トンガ、そしてハル薗田。
外人ならば、ハンセン、ブロディ、アンドレ、ブッチャー、シン、ウィリアムス、マレンコ、ピートロバーツ、スパイビー、ジョニーエース、クロファット、パトリオット、イーグル、オブライト、ダグファーアス、ブラックウェル、フリーバース、マスカラス、フレアー、ジミースヌーカー、ハリーレイス、シーク、ニックボックウィンクル、ロビンソン、マーテル、ガニア、ファンクス、古くは、サンマルチノ、ジョナサン、カマタ、マクダニエル、ラシク、イアウケア、ディックザブルーザー、リソワスキー、スレーター、エリック、コワルスキー、ブラジル、バーナード...トムマギーやラジャライオンまでも今となってはいい思い出だ。

今後何年、何十年も経ってしまえば、これらの往年のレスラーの記憶も人々の心から消えてしまうんだろうな。
そういえば、昔、馬場と猪木とどっちが強いとか、新日本と全日本はどうちがうとか口角泡をとばしてた時代が懐かしい。
今、思えば、あの口論、何だったんだろうか。(苦笑)

ちょっとしみじみ。

まさむね