格差社会の到来が言われている。
もしも、その格差社会が避けられない現実であるとすれば、最下層の人々に対して、どういった手当て(経済的にそして、精神的に)をしたらいいのかという現実的政策が今後、大いに論議されていくことだと思う。
解決策としては大きな方向性として2つある。一つは最下層の人々の幸せを完全に保障するというEUの高福祉型。そしてもう一つは、最下層の人々にも等しく階級上昇の思想と具体的チャンスを与えるというアメリカのネオリベ型。
TBSのドラマ「Rookies」は、上記2つの解決策の葛藤が主題のドラマである。
夢を失ない、心もすさみ、他の生徒からも差別されるある高校の野球部。彼らはいつも、暗い部室を自分たちのアジトとして、喧嘩、タバコ、麻雀等にふけっていた。というと、なんともネガティブな状況だが、逆に言えば、そこは彼らも自称するパラダイスであった。先の話に近づけて言えば、学校側から無視されるという形で幸せを完全に保障されているのだ。(彼らは様々な違反に対して、黙認されると同時に、授業に出席しなくても出席扱いとなっていた。)
そこに現れた新任教師・川藤。「夢」という階級上昇の思想を持って、野球部の生徒たちを改宗させていく。つまりアメリカ型のネオリベ的価値観に生徒を強引に巻き込んでいくのだ。(ちなみに、ちょうど、この漫画が連載された頃は、平成大不況から小泉構造改革時代にかけての時代で、この川藤的価値観が隆盛になっていく時代と連動しているのが興味深い。)
勿論、最初は、このネオリベ的価値観に学校側も生徒側もこぞって抵抗するのだが、川藤先生の熱意に気おされ、少しづつ(一人づつ)落城していき、ようやく野球が出来るまでに野球部を変えていくというストーリーだ。
学ラン、リーゼント、麻雀、殴り合い等、最近ではほぼ死滅した不良アイテムが何の違和感も無く登場する久しぶりに男くさいコテコテのスクールウォーズ的ドラマだが、その不良達の圧倒的存在感はGJだ。
まさむね