YELLOW SUBMARINE

YELLOW SUBMARINE

TOCP-51121
1969年1月17日発売(英)

●同名アニメのサントラ盤。
●B面はマーチン・オーケストラの劇伴音楽。(本サイトでのレビューはありません)
●最高位はイギリス4位、アメリカ2位。

最初、ビートルズたちはどうでもいいやと思ったアニメ。でもその出来を見て、感動した4人。

確かに、このアニメは現代でも十分、通用。サイケデリックなコラージュに満ち溢れている。最近(2008年)、東芝のノートPCのCM(田村正和と山下智宏が出演)でも、Yellow Submarineを完全にパクった映像が流れていたよね。このアニメの永遠性を占めるエピソードだ。

アニメ画、ストーリー、声優などの分野には、ビートルズは参加していないけど、これはこれで、この時代を表現している作品だった。 ビートルズに関わったものは何故かみんな、後から見ると面白い。 これぞビートルズマジックか。

曲はジョージの2曲とHey Bulldogがいいよね。

Yellow Submarine
★★☆☆☆

◆(Lennon=Maccartney) V=Ringo 収録日=1966/5/26,6/1

●同名のアニメの主題歌。
●同曲は、Revolverにも収録されている。


このアニメ、シュールなタッチの絵とコラージュだよね。

昔、ゲバゲバ90分ってバラエティがあったけど、その時の挿入絵はイエサブのアニメに近かったような。また、横尾忠則のイラストも似ていたような。

ようするにそういうデザインがはやった時代だったんだろうな。

リンゴが歌うと全部、ほのぼのとするよね。これも凄い個性。

Only A Northern Song
★★★★☆

◆(George) V=George 収録日=1967/2/13,14,4/20

Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandセッションで没になった曲。
●Northern Songというのは、当時ビートルズの楽曲管理をしていた会社。


Northern Songというのはそのまま訳せば「北部の歌」ってことだ。この北部っていうのは、イングランドの北部、すなわち「リバープールの歌」、すなわち、「自分たちの曲」ってことじゃないか。
一般的には、自分達の利益を吸い上げるノーザンソング社への皮肉と解釈されているようだけど、僕はそうは思わない。これは、自分たちの曲、特に、レノン=マッカートニーの曲に対する皮肉だと思うよ。また、その頃、批判も増えていたビートルズの楽曲を自嘲気味に表現したとも解釈も成り立つよね。

この曲がせっかく収録したのにあの歴史的名盤ペパーには入れてもらえなかったのは、このジョージの皮肉(悪意)がペパーには相応しくないって思われたからってのが僕の勝手な想像。曲はピカピカしてて素晴らしいんだけどね。

If you think the harmony
Is a little dark and out of key
You’re correct
There’s nobody there
And I told you there’s no one there

この曲のハーモニーをなんだかあいまいで調子っぱずれだと思うんなら
君は正しいのさ
そこには誰もいないんだ
わかったかい そこには誰もいないんだ

でも、この部分をどう解釈する?

僕は、ジョージのポールの曲に対する辛口批評だと思う。Savoy truffleの中でもこう歌っているからね。(We all know Obla-Di-Bla-Da But can you show me, where you are?..オブラディオブラダのことは誰でも知っているけど、君はどこにいるんだい?」)

でも、忘れちゃいけないのは、そうは言っても、ジョージとポールは基本的には仲良しだったって事。ポールは後に、ジョージをいつもそばにいる弟みたいな存在だったと述懐しているよね。

さて、ジョージ。彼は寡作だが、そこには彼なりのプライドがあった。その歌には必ず自分が居るっていうプライドさ。

まぁ、居たとしてもBlue Jay Wayみたいにずっと居て他人を待ってるだけってのはどうかと思うけどね(笑)

とってもキラキラした曲。実は辛らつな歌詞。この落差がジョージ。

All Together Now
★★★☆☆

◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1968/5/12

●映画「イエローサブマリン」のエンディングの曲。
●日本語に訳せば「それではみなさんごいっしょに」。


これは子供向けの曲だ。だが、その中に以下の行を含みこませておくところがポールのお茶目なところだ。

Can I take my friend to bed
友達をベッドに誘ってもいい?

子供とお母さんが一緒にこのアニメをみる。そしてエンディグでこの歌が始まる。そしてその中に、紛れ込まされたこの1行。お母さん、これってどういうこと?ってなるのを想像したんだろうな。

サウンド的には歌の入り方がとっても難しい。恐らく、ビートルズの歌の中でも最も難しい。こんな歌、もし子供のために作ったとしたら、子供いじめだよね。でも、ジョンとの掛け合いが楽しいね。

こういう曲作らせたら、ポールってやっぱり職人だよね。

Hey Bulldog
★★★★★

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1968/2/11

Lady Madonnaのプロモは実はこの曲の収録風景。
●ポールがリードギター、犬の泣き声を担当。


一見、語呂合わせ曲に見えるがいくつか重要なっていうか、いつか「使える」行があると思うよ。

Some kind of happiness is measured out in miles
ある種の幸せは旅した距離で測ることが出来る
Some kind of innocence is measured out in years
ある種の無知さ(無邪気さ)は年齢によって測ることが出来る
Some kind of solitude is measured out in you
ある種の孤独は君によって測ることが出来る

こんな事、さっと言えたらかっこいいだろうな。

楽曲的には、ピアノ、ギター、ベースが入っていくオープニングがかっこいいな。ジョンの声にも勢いがあるし。Yellow Submarineに入れておくのはもったいないな。それにポールのリードギターも、ジョンとポールとの最後の叫び合いも最高。

四人が顔をあわせてパッとこんな演奏が出来ちゃうんだからビートルズはやっぱり凄いね。

It’s All Too Much
★★★☆☆

◆(George) V=George 収録日=1967/5/25,26,6/2

●映画「イエローサブマリン」の挿入歌。

Only A Northern Songがポールへの皮肉だとしたら、この曲はジョンへの皮肉だ。
All you need is love (愛こそはすべて)といってる傍アルバムでは直前の曲でで、(そんななんて、It’s All Too Muchもううんざりだ)って言えるってんだからね。

It’s all too much for me to take
The love that’s shining all arund you

そんないっぱい受け止めきれない
君のまわりに光り輝く愛

It’s too much…..It’s too much
息が詰まりそうだ。うんざりだよ。

また、この曲の冒頭で、To your Moお前のママへ!) って叫んでいるんだけど、これはジョンのママ(=ヨーコ)へのあてつけじゃないのかな?
でもこんな歌の中にもジョージ特有の東洋哲学からの影響が見られるのが面白いね。

All the world is birthday cake So take a piece but not too much
世界は大きなバースディケーキだ 一切れとりなよ。でも食べすぎは禁物だよ

世界を関係性と捉える思想をユーモアあふれた表現にしたんだろうね。また、

The more I learn, the less I know
知れば知るほど得るものは少なくなる

これは、The inner lightの次のフレーズに極めて近いでしょ。

The farther one travels The less one knows
遠くへ行けば行くほど、知ることはすくなくなる

これは、学問をしたり、旅行したりして、知識を得たと思い込んでいる人々に対する批判だよね。瞑想こそが真の知を得る手段だってことを言ってるんだろうと思うよ。まぁ、これだけの境地に達するのは並じゃないけどね。多分。

映画では潜水艦がどんどん進むシーンのBGMとして使用され、見事にあっていた。

All you need is love
★★★★★

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1967/6/14,19,23,24,25

●1967年の夏 サマーオブラブのシンボル的歌となった。
●ヨーコがこの曲のことをいう時必ずLove is all you need という。文法的には正しいんだけどね。
●同曲は、Magical Mystery Tourにも収録されている。


There’s nothing you can do that can’t be done.
不可能なことをやろうとしたって無理だ

All you need is love の主題はもしかしたら、こっちのほうかもしれないと思わされる見もフタもないこの1行だ。

今、アワ・ワールドの映像を見ると、ガムでもかんでいるかのような余裕のジョンの表情。ポールは隣でなんか上機嫌。ジョージは緊張のリードギター。フレーズの最後の方がかなり曖昧。リンゴはいかにも体につけたビーズが重そうだけど、顔は笑っている。いつものリンゴだ。ミックジャガーやキースリチャーズも座って手拍子をしている。このころのミックってハンサムだな。
でも、このけだるい感じ。けっして若々しくは無く、楽しそうっていうよりも倦怠感ただようその雰囲気。サマーオブラブっていうのも今からすると伝説的なんだけど、実際は結構かったるかったんだろうな。なんて思ってしまいました。

最近になって評価がグングン上がっている、いろんな意味で不思議な曲。

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