「四つの嘘」と「アラフォー」

テレビ朝日系ドラマ「四つの嘘」(木曜、午後9:00~)が今週から始まった。

原詩文(永作博美)は、高校時代の同級生の戸倉美波(羽田美智子)の恋人の河野圭史(仲村トオル)を奪って、結婚するが、娘出産後に離婚。
河野が海外で事故死したというニュースをきっかけに、同級生の西尾満希子(寺島しのぶ)、灰谷ネリ(高島礼子)と再会するが、さらに、その場に河野と同じ事故で美波も死んだというニュースが飛び込んでくる。

第1回目のあらすじはこんなところだが、今後、高校時代の同級生4人の日常生活、過去に潜むそれぞれの嘘があばかれつつ、それぞれの人生が展開していくという予告だ。

前クールの「Around 40~注文の多い女たち~」(以下「アラフォー」と略す)と近接したテーマを扱っているだけあって視聴者としては、「アラフォー」との対比で「四つの嘘」を見ていくというのも一興か。

40歳という、女性にとっては自分の人生の価値観(方向)を決める最後のターニングポイントで、女性達は、主に以下の価値観の間で揺れ動くようだ。
「仕事」「家庭」そして「男性」だ。
2つのドラマでは、この3つの典型的な価値観を以下のような女優達が体現している。

仕事に価値を求める女は、「アラフォー」では、天海祐希が、「四つの嘘」では、高島礼子が演じる。

双方ともこの歳になるまで独身。年下の男性との恋と仕事との間で揺れる。「仕事」という価値で突っ張りきれるのかがテーマだ。
ちなみに、二人とも医者であるが、天海が精神科医なのに、対して、高島は脳外科医だ。

とりあえず、家庭の主婦として収まっているのは、「アラフォー」では松下由樹、「四つの嘘」では寺島しのぶだ。
子育ても一段落しているが、退屈な日常への嫌悪感から、他の男性や仕事に憧れをいだく。

が、結局は家庭中心主義の枠から出られないのであろうか?

そして、最後に「男性」に頼って幸せを見つけようとするタイプ。「アラフォー」では、大塚寧々、「四つの嘘」では、永作博美である。
「アラフォー」での大塚の結婚は見事に失敗するが、「四つの嘘」での永作の若いボクサーとの恋はどうなるのか?
いずれにしても、自分の価値観とは微妙に違う「男性」との付き合いがこの年齢で可能かというテーマをかかえる。

「アラフォー」の演出がコミカルを基調としていたのに対して、「四つの嘘」はシビアで暗い。
出演者も微妙に映画系の女優を配しているのは、作品に奥行きを持たせようとしているのか。

視聴率はともかく、しばらくは見続けてみようかと思う。

さて、最後に苦言。4人の配役であるが、現在の4人と、高校時代の4人とのキャラ的結びつきが甘い。もっとちゃんと選べばいいのに。
また、若い男優陣が無名。のちに有名になった時に、「あの時のあの人か」って思い出す楽しみもあるんだけど。
予算不足(主要4人のギャラ使いすぎ)の感は否めない。

まさむね

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