誰か命を落とすのでは、と思っていたのだが、それはなかった。ここに来て、日本社会もの急速の不況で、死というものをドラマで扱いにくくなっているのだろうか、結局、誰も死ななかった。
「何があっても、生きていかなければいけないんですね。」という佳音(堀北真希)の兄・耀司(福士誠治)のセリフが、今の時点でテレビドラマが発しなくてはいけない最低限のメッセージであることをよく表している。
ちなみに、最近のドラマにおける「生きなさい」というメッセージに関する詳細に関しては、。「篤姫」「イノラブ」「流星の絆」からの共通メッセージとは? をご参照ください。
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さて、今回の最終回であるが、教会の2階から飛び降りた聖花(内田有紀)。
とっさに助けようとして、彼女の下敷きになって頭から血を流す殉也(北川悠仁)。
昴(成宮寛貴)は「聖花は殉也の気を惹きたくて飛び降りたんだね。」と解釈する。
そして、脳に傷害を負う殉也は、聖花と同じく、人工呼吸器生活に。
病院のベッドで、殉也の手を握り、殉也への愛を告白する昴だが、殉也は全く反応せず。
必死に看病する佳音だが、立ち上がっても、殉也の記憶、感情が元に戻らない。
さらに、恋のライバルだった美月(香椎由宇)を呼んで、殉也の記憶を蘇らせようとするが、失敗。
続けて、殉也を暖かく看病する佳音。
ある日、公園で殉也に玩具のカメラ等を見せて殉也を笑わせる。
そのシーンを遠目で見ていた耀司。その足で教会へ行き、今まで、妹・佳音に抱いていた近親愛を吹っ切れたと、神父に告白。微笑む神父。
さて、公園に戻る。そこにあった赤い風船を見て、殉也が、聖花の事を思い出す。
佳音は、殉也が、本当は聖花の事を心の奥ではずっと好きだったんだと悟り、自分の身は引いて、殉也と聖花の2人で会わせようとする。
ところが、殉也は、聖花と一緒の時に、床に落ちた楽譜(殉也が佳音のために作った曲)で見て、その曲をピアノで弾きだし、「自分にとって大事なのは佳音なのだ」と悟り、急に家を飛び出して佳音がいるであろう教会に走り出す。
教会では、殉也と聖花のために、身を引き、落ち込む佳音がいた。
佳音に抱きつく殉也。そのままキスシーンへ。
そのシーンにかぶって、「愛に過去も未来も無い。好きだという気持ちの日々の積み重ねだ」みたいなナレーションが入り、ジ・エンド。
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最終回、みなさんはどう思われただろうか。
僕は残念ながらあまりにも不可解で、多くの謎を残したという印象だ。
そこでどこが不可解だったのかを以下の6点にまとめてみたいと思う。
1)殉也の気を惹こうとして、聖花が教会の2Fからダイブする。ってあまりにもリスキーじゃない?
前回の放送でも、耀司が妹・佳音の記憶を蘇らそうとして、殉也にナイフで襲い掛かるシーンがあったが、自分が起した行動とその結果との結びつきが、あまりにも、無理矢理な感じがする。
聖花の頭の中はどうなっているのか。そういった知恵はあるのか。昴への思いやりは無いのか。
脳の病気という事にしてしまえば、どんな唐突のな行動も許容されるというシナリオにはやはり、付いて行きがたいものがある。
2)殉也がピアノを自分で弾いて、大事なのは佳音だと気付くっていうのも、唐突じゃない?
聖花の教会ダイブと同様に、「イノセントラブ」における脳に傷害を負った人の行動があまりにも非論理的過ぎて付いていきがたい。
聖花も殉也も同じ類の傷害なのだろうが、時々、ただ口が聞けないだけの人々のようにも見える。
3)神父は何故、耀司の内面をすぐに理解できるの?
自分の今までの邪心を反省し、これからは心から妹の幸せを祈れると、教会で手を合わせる耀司だが、そばにいた初対面の神父(内藤剛)に自分の気持ちを打ち明けると神父はすぐに理解を示し、微笑む。
神父というものは状況の詳細がわからなくても、懺悔してくる人には必ず、微笑むものなのだろうか。
4)身を引いたはずの佳音が、殉也と教会で再会するとすぐにまたキスするっていいの?
殉也の「本当の」幸せを願っている佳音だが、一度は諦めたくせに殉也が迫ってくるとすぐに、キスに応じる、って変わり身、早過ぎない?
5)殉也の記憶を呼び起こそうとして美月を家に呼ぶ佳音、虫が良すぎないか?
殉也の記憶を呼び起こしてもらおうと、家に美月を招くが、結局成功せず。
またもや美月の心を傷つけることに。佳音はちょっと残酷ではなかったのか。
最初から最後までかわいそうな美月。
と思ったら、最後のエンディングシーンで笑ってオルガンを弾く姿も。どうやって、立ち直ったのか。
6)昴と聖花はこれからどうするの?
自分にとって大事だったのは、殉也と気付いてしまった聖花。
振られてしまうわけだが、一方で愛情の注ぎ先を失っている昴が、そんな聖花とそれまでのような暮らしが出来るのか。疑問を残したまま終了してしまった。
7)佳音と殉也はどうやって生計立てていくの?
最初から、引越しばっかりしている佳音の経済状態は気になるところだったけど、殉也が半植物になっちゃった今、佳音のピアノバーのアルバイトだけでやっていけるのでしょうか。
老婆心ながら気になるところだ。
8)結局、イノセントラブというは、誰の誰に対する愛のことだったのだろうか。
大きなところ、この疑問に尽きる。
これはみなさんにも是非考えていただきたい点である。
まさむね
はじめまして。
トラックバックありがとうございます。
同じスタッフの「ラストフレンズ」が警察が存在しない世界(通報もしないし自殺しても検死無し、事故っても警察呼ばない)という斬新なものを提示したので、それぐらいの謎が置いてけぼりなのは当然かと。
基本的に今のドラマはその場のノリや場面だけを見ているので人物の性格や設定はないがしろにされる傾向にあります。
「世界の中心で愛をさけぶ」が、どうしようもない原作をとにかく泣きのシーンの連続で繋ぐことによって名作にしましたが、これは基本設定がブレないようにしないと今回みたいなことになってしまいます。
それを勘違いして感動的に見えるシーンを繋げばいいと思ってる作り手が増えたんじゃないでしょうか。
私は、これだけ破綻した脚本を、まだしも見せられるものに仕上げるスタッフの力量に感心しています。
TBSだと「ROOKIES」「恋空」「ブラッディマンディ」とあの時間帯のドラマが全て突っ込みドラマとでもいうべき新ジャンルのものを並べていますが、今のところそれに対抗できるのは「ラストフレンズ」「イノセントラブ」だけだと思います。
「イノセントラブ」ってのは谷崎作品の事じゃありませんが「痴人の愛」と訳すべきではないかとは思ってます。
ヴぃー様
おっしゃる通りだと思います。
「イノセントラヴ」では特に最終前回における場面のつなぎ合わせ状態が顕著でした。
佳音の兄・耀司(福士誠治)による殉也にナイフでの切りかかり
美月(香椎由宇)の殉也や聖花に対するイジメ
殉也と佳音のキス
佳音の花嫁衣裳姿
聖花(内田有紀)の突然の、植物人間からの突然の起き上がり
聖花の教会2Fからの身投げ(予告編で)
という単品だけでもザッピングしている浮動票の獲得には十分有効なシーンを、シナリオはただ、どうやって結びつけるのかというのに腐心したようにも思えました。
その接着剤として、脳の障害、心のトラウマ、が活用されていましたね。
病気だと言ってしまえば、大抵の行動はアリになってしまいますから。
おそらく、視聴率有が前提のTVドラマの宿命でしょう。
しかし、ドラマの内容がこれ以上暴走しないようにとの思いでエントリーしております。
「痴人の愛」とは確かにそうです。そう訳してみると結構腑に落ちますね。谷崎の同名作品では痴人は女でしたが、「イノラブ」は男も女も痴人でしたね。苦笑させられます。
「ブラマン」は見ていないですが、「ROOKIES」と映画の「恋空」は見ました。ともに、隙の多い作品でしたね。ただし、僕は正面からツッこむのではなく、若干持ち上げ、ホメながらツッこんでみました。よろしかったら、本ブログのエントリーをご覧ください。
それでは、今後ともよろしくお願いします。
まさむね
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