60 年代のギャグ作家・赤塚不二夫

7月30日に赤塚不二夫が亡くなった。
赤塚漫画は、昭和30年前半に生れた僕達にとって、多大なる影響を与えてくれたんだよね。
遅ればせながら、心よりご冥福をお祈りいたします。

赤塚不二夫における3大ギャグ漫画といわれる「おそ松くん」「もーれつア太郎」「天才バカボン」。
面白いのは、3つの漫画とも、主人公は普通の人なのに、その周りのキャラクタが個性的なことだ。
ア太郎は、父に先立たれた少年の八百屋であるが常識的なキャラであり、バカボンは、おっとりした普通の少年だ。
さらに、おそ松くんに至っては、六つ子だから、誰がおそ松くんかわからない程度の個性しかもっていない。

一方、周辺キャラを挙げてみると、

「おそ松くん」のダヨーン、イヤミ、チビ太...
「もーれつア太郎」のニャロメ、ココロのボス、ケムンパス...
「天才バカボン」のパパ、レレレのおじさん、おまわりさん...

このキャラクタの雑多さが赤塚ワールドの本質なのだろう。

さて、これらのキャラクタの中で、僕が最もお気に入りなのがニャロメだ。
個人の思い出で言えば、イヤミのシェーをやった記憶はないのだが、学習ノートにニャロメは何匹描いたことか。

ニャロメは、いつもみんなとは逆の事を言い、みんなを扇動し、すぐに欲に目が眩むが、一方で純情で仲間思い。
そして、最終的にはいつも失敗する愛すべきキャラクタである。
赤塚不二夫は後に、ニャロメを全共闘のゲバルト学生の象徴だったと打ち明けているが、言われてみれば、ニャロメはまさに、60年代の混沌を具現化したキャラだ。

赤塚不二夫の漫画は寺山修司のアングラ芝居、大島渚のヌーベルバーグ映画、北山修のフォークソングと同じように60年代の空気を作品化したんだって言えるかもしれない。
それまで、江戸小噺や落語の世界みたいに大人の文化を前提としたお笑いがメインストリームだったのを、ナンセンスギャグっていう若者文化を背景とした世界を漫画というフィールドで構築したのが赤塚不二夫だったと思う。

実は、上記3作品に「ひみつのアッコちゃん」も含めた赤塚不二夫のスタンダード漫画は全部、60年代に生れている。残酷な言い方をするならば、70年代以降の赤塚不二夫は、キャラクタ管理者になっちゃうんだよね。

まさむね

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