REVOLVER

REVOLVER

TOCP-51117
1966年8月5日発売(英)

●1966年4月~6月に録音された。
●イギリスの音楽誌「Q」が2000年に音楽ライターを対象に実施した投票「史上最高のアルバム」で1位に選出される。
●タイトルの「リボルバー」は日本公演の時の警護の警察官の拳銃を見て思いついたという。
●ジャケットはハンブルグ時代の友人、クラウス・フォアマンによる。グラミー賞のジャケットデザイン賞を獲得。
●彼らが本物のアーティストになったアルバムだと思う。(Char)

ビートルズが1曲、1曲毎に珠玉のアイディアを出しまくって作ったアルバム。
このアルバムが発売されてすでに40年経った現代、これほどに独創的に、そしてこれほどまでに考えて、音作りをすることはあるんだろうか。
おそらく、この頃のビートルズには、自分達は何でも出来るっていう自信があったんだと思う。その、パワーが全曲にみなぎっている、そんなアルバムだ。そして、このアルバムの背景には確実にドラッグカルチャーがある。自分の意識を広げるため、みんなと連帯するため、そして世界を変革するため、この時代、ドラッグの力が信じられたんだよね。

さて、このアルバムが発売されたとき、「リボルバー」という名前の前に候補に上がっていた名前は「アブダ・カダブラ」っていうらしいんだけど、この魔法の呪文こそ、ビートルズマジックが炸裂したこのアルバムにふさわしかったのかも。ただ、「リボルバー」(Revolver)というのは回転式拳銃のことだが、単語を分解してみると、re-evolve-er(再び-進化する-人)という意味になる。初期のアイドルビートルズから、徐々にアコスティックサウンドに傾斜し、そしてさらなる進化を示したのがこのアルバムという自負の表れか。

しかし、このビートルズマジックが完璧な世界を構築したかといえばどうだろうか。僕はそうは思えない。それぞれの曲には、ザラザラとした感触が、また、曲順にも不完全感が残っている。
しかし、面白いものでRevolverの不完全さこそ、Revolverの可能性でもある。

現代、このアルバムがまだ輝き続けているとすれば、そのアルバムに潜む好奇心、意欲、自信、遊び心、そしてこの不完全性=可能性があるからに違いない。

Taxman
★★★★☆


◆(George) V=George 収録日=1966/4/21,22,5/16
●1991年の東京公演で演奏した。
●ビートルズ初の社会派ソングといわれたが、それほどの奥深さはあるか?
●タンバリンの入り方がなんとも不思議。この中途半端さは、ジョンとポールによって実験場とされてしまったジョージの曲の一例か。 (他には「嘘つき女」のファズベース、「I Want To Tell You」のフェードイン等)

この「リボルバー」にはジョージの曲は3曲も収録されている。いわゆるジョージ率がかなり高いアルバムだ。ビートルズには、ジャケットでは、そのアルバムで最も光っているメンバーの目線がこちらを向いているという法則があるが、このリボルバーでは、このジョージがまっすぐこちらを向いている(イラストではあるけど)。ちなみに、ジョン一人がこっちを向いているのが「ラバーソウル」、ポール一人がこっちを向いているが「レットイットビー」である。

楽曲的に言えば、ポールの弾くベースとディストーションのかかったリードギターがかっこいい。なんだ、かっこいいのはポールだったか。ジョージの曲なのに。 でも、曲もロックンロールとして普通に素晴らしい。後、この曲でカッコいいのは、曲の始まり。間近で聞こえるジョージのカウント、それをさえぎって、遠方で誰かの声。曲はその遠方の「フォー」というカウントに従って始まる。ノッケから意表をつく。さすがビートルズだ。
私はこの奥の声の主はリンゴだと思うが、どうでしょうか?

歌詞的に言えば、税金が高い~っていってるだけかと思ったら、やっぱりジョンが入れ知恵したパートは一味違うね。

Now my advice for those who die (Taxman)
Declare the pennies on your eyes (Taxman)

死に行く人々にご忠告いたしますが
まぶたに乗せたコインも申告もれなきように

ポールのベースのテク凄い。ギターも最高。

Eleanor Rigby
★★★★★


◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/4/28,29,6/6

●ポールひとりで歌。バックは管弦楽のみ。
●「Father McKenzie」 は空耳として「はざまけんじ~♪」と聞こえる。
●グラミー賞の最優秀ソロボーカルパフォーマンス賞を受賞。


エリナリグビーという孤独なおばあさんとマッケンジーという孤独な神父の話。

Father McKenzie writing the words of a sermon that no one will hear
No one comes near

マッケンジー神父は誰もきいてもらえない説教の原稿を書く
彼に近づくものはいない

最初このMcKenzieをジョンは、McCartneyにしようとしたという。当時、段々、グループの中でも横暴になりかけていたというポールに対する最大なあてつけですな。でも、ポールはそれを避け、電話帳から、このMcKenzieという名前をさがしてつけたという。ちなみに僕が15年位前にカナダに住んでいた時、家の近くにMcKenzie street っていう淋しい通りがあったな。

楽曲的には僕が好きな曲の1曲だ。1984年の主演映画「Give My Regards To Broad Street」の中でギターで引き語っていたポールはかっこよかったな。

でも、僕の印象だと、この曲はビートルズの曲の中でも孤高の位置にあると思う。他にこの曲に近いのがないんだよな。暗いリアリズムに基づいた詩の世界観、性急な感じのメロディ、とそれを引き立てる弦楽器のみのアレンジ、どれをとっても、あんまり類似曲がないでしょ。

どうしてこの時期、どういうモティーフでこんな深遠な曲を作ったんだろう、そしてどういう意図でイエローサブマリンのB面に置いたんだろう。さらに、ポールとジョン、どちらが主導で作ったのかという基本的なところでも論争があるんだよね。

それにしても不思議だ。

僕は、 ビートルズの曲の基本はファンタジーだと思っている。それは、いわゆるダーティリアリズムとは別世界だ。例えば、ビリージョエルの「ピアノマン」とかブルーススプリングスティーンの「ボーン イン ザ U.S.A」の歌詞の世界にあるような、普通の市井の庶民の生活を淡々と描くような世界とは違う。しかし、ビートルズの曲の中で、このEleanor Rigbyだけが、ダーティリアリズムの世界の曲なのだ。

この曲だけ、ファンタジーではなく、ファンタジーを持つ人々を客観的に眺めるという視線からの曲なのである。僕がこの曲を不思議だと思うのは、そういったことにも原因がある。

とてつもない名曲。 言葉になりません。

I’m Only Sleeping
★★★☆☆


◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/4/27,29,5/5,6

●ギターソロはテープの逆回転。

あくせく働く現代人に対する社会風刺っていうのが一般的な言い方になるんだろうけど、これもマリファナソングだろうな。

Please, don’t spoil my day, I’m miles away
And after all I’m only sleeping

僕の一日をだいなしにしないで
はるかな国をさまよう僕
とにかくこのまま眠っていたいんだ

このI’m miles awayを、どう解釈するかだと思うよ。夢の国って解釈するか、幻覚の世界って解釈するか、それはこの曲を聞いたリスナーが判断すればいい話だよね。

僕は、ジョンがこの曲で試そうとしたのは、とにかく、自分の「眠い、休みたい」っていう感覚を音楽で表現してみようってことだったんじゃないかと思う。テープの回転数を変えたり、逆回転音をギターソロに使ったり、それはあくまで、表現手法の話。ジョンの試みが成功したと捉えるか、失敗したと捉えるか、この曲の評価はそれにかかっていると思う。

「眠い」っていう状況を音楽にしたらこうなった?

Love You To
★★★☆☆


◆(George) V=George 収録日=1966/4/11,13

●ポールとジョンは不参加。リンゴはタンバリンで参加。
●シタールはジョージが弾いている(という)。


ジョージは自分の歌の題名をつける時かなり、いいかげんだったという。レノン=マッカートニーの曲はタイトルが歌詞の中にそのまま出てくるケースが多いんだけど、曲数が少ないジョージは、それにしてはそうじゃないパターンが多い。ざっと上げてみると、Love you toFor your blueThe inner lightWithin you without you(実際の歌詞はyouとwithoutの間にandが入る)。だからなんだって話なんだけどね。それにしてもLove you toっていうのは、どうなんだろう。歌詞の中ではLove to youでしょ。to と youをなんで入れ替えたんだろう。謎だ。

A lifetime is so short
A new one can’t be bought
And what you’ve got means such a lot to me

人生はあまりにも短い
新しいのを買うわけにもいかない
だけど 君さえいればそれで十分だ

Make love all day long
Make love singing songs

1日中愛し合おう
歌いながら愛し合おう

なんて享楽的な歌詞なんだ。1日中歌いながら愛するってまるで馬鹿ではないか。あくせく働くのを止めること、組織の歯車にならないで自由に生きること、今、読むとなんだかなぁという感じもするけど、時代っていう考え合わせると意義深く感じられる。

時代を先取りするのがビートルズ。この曲の、「1日中愛し合おう、歌いながら愛し合おうっていう生き方は、次の年のサマー・オブ・ラブの思想を先取りしているよね。

この時代の雰囲気を上手く捕らえている。

Here,There And Everywhere
★★★★☆

◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/6/16,17

●ジョンもポールも一番気に入っているビートルズソング。

ジョン曰く「ポールがひとりで作った曲だと思う。ビートルズの中で僕が一番好きな曲のひとつだ。」
一方でポールも、自分が書いたすべての曲のうち、今でも気に入ってるものというとどれですか?という質問に、「それはすごく難しい質問だな。つまり、音楽的には「Here, There And Everywhere」かもしれないけど、ヒットということから考えると、「Yesterday」になるだろうし。思ってもみなかったほどヒットしたんだからね。」と答えている。

おそらく、Yesterdayは、その曲の作られ方(朝、起きたら出来ていた)からして、ポールにとって、本当に自分の曲っていう所有意識は薄かったんじゃないかな。それに対して、この曲は本当に上手く出来たっていう実感があったんじゃないかと思われる。

ジョンもこの曲は好きだったみたいだ。彼は偉大なアーティストだ恐らく嘘をつくことはしない。その証拠に、ジョンの代表作「Woman」の歌いだしの部分は、「Here, There And Everywhere」と似ている。

そういえば、ポールがどっかで回想していたな。二人っきりになったときに、ジョンは「実は俺はお前の作る曲の方が好きなんだ。」ってひっそりと打ち明けたというのだ。その時、ポールは本当に嬉しかったという。 いい話だ。

Yesterday等とならぶメロディアス・ポールの神曲。

Yellow Submarine
★★☆☆☆

◆(Lennon=Maccartney) V=Ringo 収録日=1966/5/26,6/1

●リンゴがボーカルをとったはじめてのナンバーワンソング。
●ただの童謡なのに、ピル(避妊薬)を歌った歌だと邪推された。
●同曲は、アルバム「Yellow Submarine」にも収録されている。

ここまで書いてきて、このリボルバーは本当に1曲づつが全部、違った方向を向いていることに驚く。ロック、クラシック、ブルース、インド音楽、バラードときて童謡だからね。
中学校の頃のこの曲をカセットで聞いていたら、村田英雄や三橋美智也を好きだったうちのおばあちゃんが「ヤオサオ」ってなんだって聞いてきた。おばあちゃんの耳にはYellow submarineが「ヤオサオ」と聞こえていたのだろうな。

リンゴが歌うと全部、ほのぼのとするよね。これも凄い個性。

She Said She Said
★★★☆☆

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/6/21
●LSDでトリップしていた時にピータフォンダに「死ぬってことはどういうことか知ってるよ」って話し掛けられて不快だった時のことを歌にしたという。

この曲は、凄くかっこ良くて好きっていう人と、聞けたもんじゃないっていう人が二分される曲。ジョンのこの頃以降の曲はそんな曲がどんどん増えていく。

でも、死ぬってどういうことか知っているよ、って言われたても、普通、生まれてきてないような気分にならないよね。それがLSD体験っていうことで「ふ~ん、そんなものなのかなぁ」と思ったりした。

あと、ピータフォンダで男優でしょ。なんでShe saidになってるんだろう。同様のことは、マハリシを非難するのになんでSADIEって女になっるんだろう。初期の頃には、女性に対する暴力ソング(You can’t do that僕が泣く浮気娘)もあったし。どうしたんだいジョン。つらい女性との過去があるんだろうな、って想像しちゃう。

ジョンの攻撃性溢れたドラッグソング。この曲調、根強いファン多し。

Good Day Sunshine
★★★☆☆

◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/6/8,9
●間奏のピアノはマーティン。この部分はフォーククルセダーズの「帰ってきたヨッパライ」でも引用された。

I need to laugh and when the sun is out
I’ve got something I can laugh about
I feel good in a special way
I’m in love and it’s a sunny day

声を上げて笑いたい 太陽が照ってると
ひとりでに笑えてきちゃうんだ
なんだかとっても心がはずむ
恋をしているのさ それに今日はいい天気

このひとりでに笑えてきちゃうっていうのはマリファナのことでしょ。GooddaySunshineっていうの自体がマリファナの隠語だしね。

NASAでは毎朝この曲がかかって隊員を起こすって聞いたことあるけど、「そういった」意味も踏まえてるんだろうか?

エンディングのアレンジでまたまた見せたポールの天才。

And Your Bird Can Sing
★★★★★

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/4/26
●ジョンとジョージのツインリードギター。
●この曲の歌詞はよく難解だと言われる。ジョン自身はいいかげんに作った曲、ひどい曲とコメントしている。

ひとつの解釈の一つに、Bird=Beatles、You=Beatlesのファンというのがある。

You tell me that you’ve heard every sound there is
And your bird can swing
But you can’t hear me, you can’t hear me

ありとあらゆる音を聞いたというのかい
それに 君の小鳥はスウィングするって?
でも 君には僕の声が聞こえないんだね

確かに、この部分はコンサートをやってもちっとも演奏を聞いてくれず、騒ぐだけの観客に向かってのメッセージと取れないことも無い。

別の解釈としてBird=Beatles、You=ブライアンエプスタインというのもある。それはビートルズが稼いだ富の多くを取っていくブライアンに対する皮肉ととることが出来るのだ。

You say you’ve seen seven wonders and your bird is green
But you can’t see me, you can’t see me
When your prized possessions start to wear you down
Look in my direction, I’ll be round, I’ll be round

世界の七不思議を見てきたというのかい
それに 君の小鳥は緑色だって?
でも君には僕が見えないんだね
貴重な宝物の数々が重荷になってきたらこっちを向いてごらん
僕はいつだってそばにいる

緑色っていうのは嫉妬してるってことだよね。(You can’t do thateverybody’s greenって歌詞があるけど、みんな羨ましがってっていう意味)小鳥が緑色ってことは、Beatlesの面々はブライアンが金をあまりに持っていくんで内心嫉妬しているって意味さ。You can’t see meっていうのは、そんな僕ら(=Beatles)のことをわかっちゃいないねっていう意味さ。貴重な宝物の数々が重荷になってきたらってのも皮肉だよね。

まぁ、どっちが正しいかなんて野暮だよ。ジョン得意のダブルミーニングだってことにしよう。
恐らくジョンとしてはブライアンに対して、軽いジョークのつもりだったんだろうと思うよ。ジョンって結構辛らつなジョークが好きだからさ。そうしたらそのブライアンはこの1年後位にドラッグ中毒で死んじゃうんだよね。ジョンは後悔しただろうね。こんな曲を作ったことを。 それが、ジョンがこの曲のことをヒドイ曲って言ってたことの真相だと思うよ。

ジョンがいくら嫌っていても僕はこの曲、大好きさ。

For No One
★★★★★

◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/5/9,16,19
●フレンチホルン、クラビコードというめずらしい楽器が使われている。
●ジョンとジョージは不参加。

この曲もポールの私的な体験をもとに作られた曲だ。女が男を必要としなくなり、去っていく。男はそれでもまだ、女が男を必要としているはずだと信じている。そんなすれ違いを淡々と描いている。この客観的でかつ残酷な視線がポールにあって、ジョンにはちょっと不足している要素だと思う。

You want her, you need her
And yet you don’t believe her when she said her love is dead
You think she needs you

彼女を求めている 彼女を必要としている
けれども君は彼女を信じない もう愛していないと言われても
彼女にはまだ君が必要だと思ってる

ポールの才能はとどまる事を知らず。特に曲の始まり方はやはり天才技。

Doctor Robert
★★☆☆☆

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/4/17,19

●LSDをビタミン剤にまぜて患者に注射していたというニューヨークの医者(チャールズ・ロバーツ)を歌った。

リボルバーがサイケデリックと言われるのは、中の多くの曲が麻薬と関係しているからなんだろうな。曲だけを漠然と聴けばそんなに麻薬は感じないんだけど、歌詞とかエピソードを聴くと結構、当時ビートルズが麻薬に深くかかわっていたことがわかるよね。それはいい悪いの問題じゃなくて、そういう時代だったというしかないでしょ。今になっては。

キレのあるロック。でもちょっと地味かな?

I Want To Tell You
★★★☆☆

◆(George) V=George 収録日=1966/6/2,3
●ジョージが1991年の日本公演でオープニングに演奏した。
●エンディングでは、ポールとジョージの、演歌でいうところの“こぶし”が聴かれる。

ジョージのシャイな歌詞が可愛い。

I want to tell you My head is filled with things to say
When you’re here All those words, they seem to slip away

言いたいことがあるのにどこから話せばいいのやら
君がそばに来ると急に頭の中がからっぽになっちまう

Do you want to know a secret」とか、「I’m Happy Just To Dance With You」とかのジョージのシャイな男路線の上にある。僕はSecretDanceは他のメンバーが無理やりジョージに押し付けたイメージではないのかとの邪推を持っていいたんだが、自分自身でこういった曲をつくると僕の仮説が崩れるじゃないか。ジョージよ。
楽曲的にはシタールはつかっていないもののピアノが不協和音的でなんだが不気味。エンディングの“こぶし”もこの頃のなんでもありのビートルズにぴったりな選択だ。

来日公演のオープニングにこの曲の前奏が流れたときの興奮といったら...そう来たかジョージ!!

Got To Get You Into My Life
★★★★☆

◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/4/8,11,5/18,6/17
●元祖「ブラスロック」とされている。
●1976年にアメリカでシングルとして発売。ゴールドディスクを獲得している。

Ooh, then I suddenly see you
Ooh, did I tell you I need you
Every single day of my life

すると突然君に出会った
君が必要だってちゃんと伝えたっけ?
毎日ずっとそばにいてほしいんだ

この曲に関してポールは「この曲の相手は人間じゃなくて、マリファナなんだ。『こりゃあ悪くないじゃないか。マリファナをやることにするぞ』と宣言する、マリファナに捧げる合唱曲さ。」って語っている。まったく、毎日ずっとそばにいて欲しいなんて言うから、捕まるんだよ、ポール。
楽曲的に言えば、最初のフレーズが同じ詞でエンディングにも出てくるところなんかシャレてる。野太いディストーションギターはいかにもポールっぽくてかっこいい。ジョージにはすまんが、センス的に僕はポールのギタープレイの方がかっこいいと思う。

ポールの自信溢れる名曲。絶好調だ。

Tomorrow Never Knows
★★★★☆

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/4/6,7,22
●実験的なサウンドコラージュで有名。
●ティモシーリアリーの「ザ・サイケデリック・エクスペリエンス」の中から詞を引用している。
●タイトルは、いわゆるリンゴ語(リンゴがたまに発する文法メチャクチャなフレーズ)からとった。
●ミスチルが同名曲を発表しているがなんの影響も感じられない曲。
●ジョンの歌声はひしゃげた感じになっているがジョンがマーティンに「ダライ・ラマが山の上で歌っているような感じにしたい」と注文したとか。
●カモメの鳴き声のような音はポールがギターの逆回転で作り出したとか。

上記のように何かと耳タコエピソードが多い曲だ。確かに実験としてはかなり面白いが、恐らく発売当時から今まで、そんなに人気があるナンバーではない。なんとなく、「これを認めろ~」っていう空気が鬱陶しいからか?

Revolution9位になるとファンに聞かせたいのかどうかも疑問に感じられて、そこが逆にすがすがしいのだが、この頃の曲は、どこかにまだアイドルグループの尻尾を引きずっている感じがする。

歌詞はティモシーリアリーの「ザ・サイケデリック・エクスペリエンス」からの引用といわれているが、中に、ジョンっぽいフレーズが入り込んでいた。

Love is all and love is everyone
愛がすべて 愛とはあらゆる人々

The wordTomorrow never knowsAll you need is love これはビートルズ中期、愛の三部作だ。

ところで、この曲での自分の声を「ダライ・ラマが山の上で歌っているような声」にしたいとマーチンに要望したジョン。もしも、生きていたら、2008年のチベット民衆蜂起に対して、どんな行動をとり、どんなメッセージを出していたんだろうか。自分が、どうすべきか迷った時、「もしも、ジョンだったら?」って考えるのも一つのヒントかもしれないね。

混沌と実験とポップスの見事な融合。

コメントは受け付けていません。