「スキャンダル」最終回に残した11の疑問

TBS日曜劇場「SCANDAL」の最終回が終了した。
内容に関しては、基本的に納得出来る話だったと思う。面白かった。
最終的にサスペンス性よりも、男と女の情を描くシーンにウェイトが置かれた展開は、僕は、よかったと思う。

さて、予想(「スキャンダル」最終回を残して推理してみました)のいくつかは当たったが、多くは当たらなかった。
これに関しては、お許しください。

キャスト

高柳 貴子 – 鈴木京香
高柳 秀典 – 沢村一樹

河合 ひとみ – 長谷川京子
河合 雄一 – 光石研

鮫島 真由子 – 吹石一恵
鮫島 賢治 – 遠藤憲一

新藤 たまき – 桃井かおり
新藤 哲夫 – 石原良純

白石 理佐子 – 戸田菜穂
久木田 慶介 – 加藤虎ノ介

川島 礼二 – 植田浩望
水谷 隼人 – 細田よしひこ
勝沼 龍太郎 – 小日向文世

ちなみに、大きくはずした予想は以下の3点だ。

1)一番大きくはずしたのが、夫4人が理佐子の金沢殺害計画を幇助するという点だった。それは全く関係なかった。4人の妻を結婚式場に集めている間に、それぞれの4人の夫に、金沢殺害計画の準備をさせるっていう推理、なかなかだと自分で悦に入っていたけど、結局、まったく関係なかった。
それゆえ、その計画を前提とした動き(雄一が、理佐子と金沢との仲介をしたとか、秀典と賢治がその場に控えている、4人が理佐子に逆に脅されている等)に関しては、完全にはずしてしまった。

2)また8年前の事件をそもそも起したが雄一の画策だという推理もはずした。
そのクラブで外資系企業の幹部に接待された現場をフリー記者に見られ、その記事をもみ消すための資金として、偶発的に起きた事件の示談金を充てようというアイディアを雄一を出したというだけだった。
しかし、これは前回まで全くその記者の話など出てきていないのでしかたないと思うのですが...

3)4組の夫婦が全て離婚すると予想したが、真由子とたまきの2組のみが離婚、貴子とひとみ夫婦は元の鞘におさまった。元に戻った2組には、子供がいたというのが大きな分かれ目だったのだろう。

ただ、若干、疑問、強引さとして残された点もあったので、最後に触れておきたい。

以下の11点だ。

1)前回の放送時に教会の影に立って、石を並べていた帽子の男は誰だったのだろうか
警察があの現場を認識したのは雄一の垂れ込みによってなので、時系列的に、理佐子が教会に入ったタイミングでは早すぎる。したがって、警察の人ではない。
秀典はあの現場に来ていたし、賢治も家を外出するシーンがあったのでその2人のどちらかとも思ったが、不明。
結局あの伏線は回収されず。

2)久木田が貴子に近づいた理由の説得力が弱い
一時、久木田は、理佐子から自分への別れのメールを偽装したり、2人きりで何度も会うなど、明らかに貴子を誘惑しようとしていた。
しかし、それが、ただ、理佐子と会うための手段だったというのは無理があるように思えた。
もっと、別の深い意図があるのかと思ってしまった。それに関して、公式HPのキャスト説明の久木田の欄には「日本人で初めてニューヨークフィルと契約し、脚光をあびるが、その経歴ははっきりと公表されていない。」とあったので、彼に、もっと秘密があるのではないかと勘ぐってしまったのである。

3)理佐子の「私は勝ったわ」というセリフの根拠が薄い
結局、他の4人がいろいろと家庭や旦那に対して、愚痴を言っていて、愛情が薄れているのに対して、理佐子の久木田に対する愛情の方がピュアという事で「勝った」と言ったという事になっているが、4人の生活愚痴を聞いたのは、結婚式の後の、2次会の居酒屋での話なので、時系列的におかしいのではないか。

4)理佐子がアリバイを作るために4人を結婚式に呼んだという無理
4人にナンパをさせるゲームを仕掛けている間に、金沢を殺そうとしたという理佐子のアリバイ工作には無理があるのではないか。
何故なら、その時間には別々に行動しているわけであり、逆に殺人のタイミングには誰も理佐子と一緒に居たわけではないからである。

5)金沢とラブホに入るときに、理佐子が貴子に見せた視線は何だったのか
あのシーン、確かに、理佐子は貴子にこれ見よがしの視線を投げかけている。
あれは何だったのだろうか。

6)雄一が、何故、金沢が理佐子を恐喝していたのかを知っていたのか
結局、雄一の警察への垂れ込みが、逮捕に大いに役立ったのだが、金沢が理佐子を恐喝していた事を何故、雄一は知っていたのだろうか。
金沢が雄一にその事を話していたとしたら、それは何故なのか?その理由が無いような気がする。

7)勝沼の奥さんは死んだの?失踪したの?
以前、勝沼は、奥さんに逃げられたと話していたが、最終回では、奥さんに死なれたという話になっていた。この食い違いが疑問として残る。

8)理佐子が金沢を殺さなかった理由の説得力が無い
理佐子の話によると、結婚式の2次会の気の置けない雰囲気が気に入り、またそこに戻ってきたかった。
つまり、4人の友達としてその中に入りたかったという事であるが、その時点では4人はまだ初対面で、決して仲の良い状態ではなかったはずだ。
理佐子がそれを見て、殺人を思いとどまったというには説得力が薄いのではないか。

9)一度、理佐子が高柳家にやってきたがあれは何だったのか
第6話に、理佐子が高柳家にやってきて、家の前にいたところを娘に見られている。
あの行動は何を意味していたのだろうか。何を求めてやってきたのか不明のままである。
また、その際、秀典に会い、「女だったら誰でもこうなる可能性がある」と叫ぶが、そうだろうか。理佐子だけの問題のような気がするが。

10)公式HPの人物相関図を見ると、秀典の愛人として、会社の女の子が出てくるが...
公式HPの人物相関図を見ると、秀典の愛人として、会社の女の子が出てくるが、あの子、最終前回で、彼女はただのアシスタントだったと秀典は貴子に言う。
これは、秀典が、あんな緊迫した場面でも、またウソをついたのか。疑問として残る。

11)最終前回に、秀典が貴子に警察へ行けと言った際に、久木田がどんな男かお前は知らないと言っていたが...
最終前回に、秀典が貴子に警察へ行けと言った際に、久木田がどんな男かお前は知らないと言っていた。
それによって、久木田のさらなる秘密が出てくるかと思っていたが、それは全く無かった。
あの秀典のセリフの根拠は、そして、「どんな男」だと思っていたのだろうかが、不明。

まぁ、最終前回まで、かなりの謎を残しての最終回だったため、若干の破綻はしかたがないと思っていた。
結果として、毎回楽しませてもらったので、僕としては満足な「SCANDAL」であった。
そしておそらく、今後、この「SCANDAL」のような、豪華キャストによる複雑なサスペンスがブームにすらなるような気がする。
あまりに話が、複雑だと、一度落ちた視聴率を上げるのが難しいという懸念もあったが、、最終回には15.5%を回復していた。
最近の常套手段=視聴率回復のための夕方の再放送もしなかったのに。

ちなみに、日曜劇場のスポンサーは、トヨタ、NTTdocomo、花王、アサヒビール、アサヒ飲料だ。広告界の上客5社をバックに背負った今回のドラマ、TBSにとっては、ほっと胸をなでおろす数字がとれたのではないか。

まさむね

はるな愛が来年さらに飛躍するであろう7つの理由

来年は必ず、今年以上に、はるな愛の絶頂期が来る。
勝手な推測だけど、僕はそう思う。

今日は、そんなはるな愛が成功するであろう7つの理由を考えてみた。

1)はるな愛は絶対的に綺麗だ
はるな愛には、いろんな人からナンパされた(例えば志村けん等)という伝説がある。
確かに、彼女(彼)は綺麗だ。
以前、「明石家さんちゃんねる」でROOKIESの若手俳優たちに、コチラに並んだ女芸人達を選ばせるという企画があったが、圧倒的にはるな愛に人気があった。
あの市原隼人もはるな愛を指名していた。
ただ、男が女の恰好をしているという従来のオカマをはるかに凌いでいると思うのは僕だけであろうか。

2)はるな愛はお祭り気質だ
テレビのバラエティにとって、使いやすいタレントというのは、何といってもリアクションが解りやすいことだ。
その点、はるな愛の喜怒哀楽の激しいスタイルはテレビ向きである。
しかも、彼女の「夜の街体質」=「お祭り気質」の立ち振る舞いは、誰をも楽しませる事を前提としていて、憎めない。

3)エアーあややは何度見ても飽きない
何故だかわからないが、彼女のエアーあややは何度も見たくなる。
逆に言えば、はるな愛の他の芸はほとんどテレビでは披露されていないような気がする。
それは、彼女(彼)の美しさによるところも大きいのだが、芸が完成している点も大きい。
あの本物の松浦亜弥もその芸のレベルの高さに公認し、自分のステージに呼んでいるほどだ。
ちなみに、前田健の物まねは「汚い」ということで、いまだ未公認だそうである。

4)他のオカマタレントがやや飽きられ気味
はるな愛に飽きが来ていないと反比例して、IKKO、KABAちゃん他、その他のオカマ芸人に若干飽きられ感がある。
「オネエマンズ」も来春打ち切りということであるが、芸能界に存在する数個のオカマ席争奪はさらに、厳しくなることだろうが、はるな愛はそのうちの一席は必ず占めるような気がする。

5)はるな愛の言葉は説教臭くない
一般的にオカマの場合、例えば、美輪明宏にしろ、おすぎ&ピーコにしろ、IKKOにしろ、その苦労の分だけ、どこか言葉が説教臭くなることがあるが、はるな愛にはそれが見られない。
また同様に、夜の街を背負ったタレント、例えば細木数子や室井佑月、デヴィ夫人は同様に、時として相手に対して高圧的になる時がある。
おそらく彼女達は、その夜の街の経験上、そして、本能的に、男のM的な要素を見抜いているのだ。だから、深いところでサービスとしての高圧さを出しているのではないかとも思う。
しかし、はるな愛にはそういったところがない。基本的にお笑いタレントということもあって、そういった押しの強さはない。しかし、その軽さが受けているし、みんなに嫌われない理由なのではないか。

6)はるな愛のギャラは安い
昨今、テレビ業界もCMが入らなくなって、不況であると言われている。そんな中でやはり使い勝手がいいのが、ギャラの安いタレントであることは、想像に難くない。
その中で、はるな愛は、サンズの所属だ。
言うまでもなく、サンズはイエローキャブから分かれて、野田社長が作った新しい会社であるが、そこのギャラは他大手芸能プロに比べると安いというウワサである。

7)はるな愛は、ボーイッシュな女性としても見られる
今、TV向けの女性タレントで受ける娘は、ボーイッシュである。
例えば、あのハロプロの中で、今、テレビで活躍している里田まいにしろ、矢口真里にしろ、ボーイッシュな娘なのである。
また、今年大ヒットした大河ドラマ「篤姫」もボーイッシュな女の子だった。
それは、言い換えれば、子供の頃に男の子と遊んだ経験の有無である。
というのも、以前、仕事で、イエローキャブの若い娘達に、全員インタビューしたことがあるのだが、話をしていくと子供の頃に男の子と遊んでました。という娘が多いのに驚かされた。
そして、さらにそういう娘こそ、その後、芸能界で、活躍しているのだ。
小池栄子、MEGUMI、佐藤江梨子、小林恵美、根本はるみなどがそれにあたる。
逆に、五十嵐りさや川村亜紀などは、女性としては魅力的だったが、そんなに一般的には人気者にはならなかった。
そして、はるな愛だが、まず彼女の所属がサンズであること。
それは、元イエローキャブ社長で、ボーイッショタレントを売り出す事にかけては人一倍の野田社長がマネージメントするということである。
おそらく、野田社長は、はるな愛に、その他のオカマタレントが持つ、女性になった男性としての才能にプラスして、小池栄子のような、男性的な女性としての要素も見出しているはずである。

以上を踏まえて、来年のはるな愛の新しい展開に期待したいところである。

まさむね

「イノラブ」「篤姫」「流星の絆」からの共通メッセージとは?


9月のリーマンショック以来、金融恐慌が徐々に実物経済の不況に伝染してきている。
トヨタ、ホンダ、キャノンなどで派遣社員の契約解除、ソニーの大型リストラの話が世間を騒がせている。
大変なことだ。
おそらく、来年あたりさらに、失業者は増えていくのだろう。

心配なのは、それにつれて、自殺者の数も増加しそうということだ。
左表を見ると、悲しいほど、失業者数と自殺者数に相関関係にある。厳しい現実だ。

自殺の動機に関して、一番多いのは健康問題、次に経済問題だと言われているが、そういう問題を抱えていても多くの人は頑張って生きている。
おそらく、自殺するという事は、結局は、将来の向かって何の希望もなくなったということ、人間関係を断ち切りたくなったということである。
最終的には、人と人との結びつきしか、その増加を食い止める手段はないのだろう。
      ◆
さて、そんな現況の中、最近のドラマでも、自殺を阻止するような場面が多く見られる。
死のうとする人に対して、「死なないでくれ」というメッセージを積極的に出すことは、社会として重要な課題であるという認識が共有されているということか。

例えば、「イノセント・ラブ」において、佳音(堀北真希)の兄・耀司(福士誠治)がナイフで自殺しようとするが、殉也(北川悠仁)に制止される。
その時のセリフが「生きていて欲しい」だった。
そして最終回に耀司は言う。「何があっても生きなくてはいけないのですね。」と。
大河ドラマ「篤姫」でも、主人公の篤姫(宮崎あおい)は、自分は死んで官軍の江戸総攻撃を回避しようとする徳川慶喜(平岳太)に対して、「あなたも家族です。」と言って、自害を阻止する。
また、「流星の絆」、真犯人だった刑事(三浦友和)が自殺しようとするが、自分の両親を殺された有明功一(二宮和也)はそれを許さない。
原作では、この場面で刑事は自殺する事になっていたらしい。
ドラマ化する際に、殺させるのを良しとしなかったことがうかがえる。
そして、そのシーンに、敢えて「生きろ」というメッセージを込めたのだと思われる。

3作品とも、少なからず憎んでいた相手に対してのメッセージだったことは共通している。
      ◆
一方、冷静な目で見れば、こういった不況の時期は新しい才能が芽生える時期でもあることも事実である。
右表は、自殺者数の増加を年毎に表したグラフであるが、1998年に急激に伸びているのがわかる。
そして、1998年に年間3万人台に上がった自殺者数はその後、高値安定の状態になってしまっている。

1998年と言えば、前年の1997年に、山一證券、北海道拓殖銀等が破綻。
この年には、バブル以降最悪の不況だった年である。

しかし、同時にこの年、宇多田ヒカル、浜崎あゆみ、モーニング娘。、aiko、MISIA、椎名林檎、キロロ等、その後の大活躍する女性ミュージシャン達が次々にデビューしている。
おそらく、こういう時期だからこそ、人々の新しい心情、感情、人情を汲み取れるような新しい感性が登場するチャンスなのだとも言えるのかも知れないのだ。

不謹慎かもしれないが、そういう意味で、来年の音楽シーンは大変楽しみである。

まさむね

「篤姫」ヒットの一因に、普遍的な物語性があった

篤姫は、物語のアーキタイプ(典型)としても、優れているのではないかと思う。
アーキタイプというのは、典型的な物語の枠組みの事である(ここではそう使っている)。
例えば、世阿弥の「忠度」とか、「忠臣蔵」「水戸黄門」、西洋だと「シンデレラ」や「ロミオとジュリエット」がこれにあたる。
ようするに、それを典型として、いくつものバリエーションが生み出せるような普遍的な物語のことである。

では、篤姫は典型としてまとめるとするならば、どんな物語なのであろうか。

自由奔放に育った子が、心ならずも運命的に別世界に送り込まれてしまう。
そこには自分を苛めてくる数々の敵がいるが、その敵を一つづつ、自分の味方にしていく。
そして、その世界で、王子様と出会って、愛し合うことができるが、不幸にもその王子様は死んでしまう。
その王子様からのメッセージを心に秘め、さらに襲ってくる数々の敵を自分の味方にしつつ、難関を乗り切っていく。
その敵の中には、子供の頃に一緒に遊んだ仲間もいるが、それぞれの立場で最良の道を選んで進んでいく。
運命のしたがって、その別世界は崩壊してしまうが、その子は、最終的に、闘いの過程で味方にした仲間達と幸せに暮らす。

こんな感じだろうか。
篤姫では、この別世界は江戸城大奥だったが、それは老舗の旅館だったり、銀座のクラブだったり、大手町の大企業だったり、嫁入り先だったり、どんな設定でも物語は成立するような気がする。
それはバリエーションの問題なのだ。

今回、篤姫の大ヒットの原因の一つに、この物語の普遍性というのが追加できるかもしれない。
今後、このアーキタイプを活用したアドベンチャーゲーム、別のドラマ、小説などが多産されていくような気もする。

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まさむね

篤姫が私達にくれた6つのメッセージ

前エントリーで、大河ドラマ「篤姫」の視聴率がよかった11の理由を書いたが、今回は、その篤姫からの6つのメッセージを書いてみたい。
やはり、どんなジャンルでもそうだが、ヒットするコンテンツには、ユーザーに対する実践的なメッセージ(処世訓)が含まれているものだ。

篤姫という作品が、僕たちに送ってきたメッセージを以下の6つにまとめてみた。
 
 
 
1)迷ったら、自分の信じた道を行け
これは、父・島津忠剛(長塚京三)、義父・島津斉彬(高橋英樹)、母・お幸(樋口可南子)、夫・家定(堺雅人)達が、手紙や幻影の中で繰り返し、篤姫に伝えるメッセージである。
最終的に信じれるのは自分の感性であるというメッセージである。

2)自分の家族(身内)を大事にしろ
家定の幻影に言われることであるが、守らなければならないのは、財産でも、家でもなく、本寿院(高畑淳子)、滝山(稲森いずみ)等の「家族」(信頼できる仲間)である。そしてその心である。

3)運命に逆らわず、自分の役割貫け
これは「女の一本道」という表現があったが、薩摩の今和泉島津家の置く女中・菊本(佐々木すみ江)や、父・島津斉彬から伝えられる。

4)相手に対しては、自分をさらけ出せ
英姫(余貴美子)、島津斉興(長門裕之)、徳川斉昭(江守徹)、井伊直弼(中村梅雀)、和宮(堀北真希)等との確執をすべて、直談判で乗り切る。

5)生理的に合わない人にも優しくしろ
徳川慶喜(平岳大)に対しては、生理的にあわなかったが、そんな慶喜に対してもプライドを重んじて接し、生き場所を与えてあげる。

6)友人は、分け隔てなくつきあえ
上級武士の子であった篤姫であるが、薩摩時代に下級武士の西郷や大久保、有馬などとも等しく付き合う。後にその人間関係が生きてくるのだ。

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まさむね

大河ドラマ「篤姫」の視聴率がよかった11の理由

NHK大河ドラマ「篤姫」が高視聴率で全50話終了した。
平均視聴率は、24.5%で、ここ最近10年の大河では最高を記録したという。それによって、某視聴率稼タレントKさんが再来年の出演を尻込み、辞退し、結局、福山雅治に決定したとの噂話にもリアリティがある。
また、2008年のヒット商品番付では、関脇に選出された。
全体的にNHKの番組が支持されたこの1年であったが、その代表選手がこの「篤姫」だったのだ。
それは何故なのだろうか。

ヒットの理由を僕なりに考えてみた。

1)主演・宮崎あおいの魅力
宮崎あおいは、天璋院・篤姫の生涯のうち、12歳~49歳までを演じた。
彼女は、子役としてデビュー後、映画「NANA」等で好演し、評価を徐々に上げ、史上最年少で大河の主役に抜擢される。
史上最年少(22歳1ヶ月)の主役として、放映開始前から話題になった。
実際、スタジオで台本を持っているところはほとんど見られなかったというほど、完璧な役作りで、彼女自身が本当の篤姫になったかのごとく、を見事演じきった。
実際、江戸城開城を前にして、一千人の女中に大奥明け渡しを伝えるシーン撮影の前夜はソワソワしてしまったという。それほど、役にのめり込んでいたという事だ。

2)幕末という大変革の時代と現代とがシンクロ
現代は100年に一度の大変革の時代と言われている。多くの日本人はそんな激流の中、将来への不安を心に抱いている。
そんな現代という時代状況が、篤姫が生きた幕末と酷似していると言われている。
特に、徳川幕府の大奥という、あの時期、衰退を余儀なくされた既得権益集団をどう、終わらせていくかという、一見地味だけど、物凄く困難な状況を乗り切った篤姫の人間性、判断力、説得力が、これから退潮を余儀なくされるであろう現代社会を生きる、多くの日本人の共感を呼ぶところだったのではないか。
現代に蔓延する閉塞感を切り開くためにはどうしたらいいのか。視聴者一人一人が、こういった疑問の答えを模索する中で、篤姫に惹かれたのではないかと思う。

3)周りの男性が草食系
篤姫が子供の頃から男勝りで積極的な少女として成長したが、彼女を取り巻く男達は、それに比べて情けない性格で、最近よく言われる草食系男子として描かれていた。
積極的に女性を求め、ギラギラした人物はあまり、出てこないのだ。
草食系男優の代表格・瑛太が小松帯刀を、ひょうひょうとした性格俳優の堺雅人が徳川家定を演じた。
瑛太は、尚五郎の情けない青年時代から、時代を動かすほどの傑物・帯刀への成長を上手く演じた。
篤姫と再会すると、以前の尚五郎に戻って伏し目がちになるところ等、出色だ。
また、他の人々の前では”うつけ”のフリをしているのだが、篤姫との寝室だけ、本来の聡明さを見せる家定は魅力的だ。
第48回放送時に、幻影として復活した家定が再び”あの世”に帰ろうとする時に、一瞬、篤姫がついて行こうとするシーンは、大河史上でも名場面として今後も語り継がれるだろう。
さらに、松田翔太も、若いながら気品と思いやりのある名君・次代将軍の家茂をよく演じていた。

4)大奥バトルという見せ場
フジテレビのドラマ「大奥」等によって、江戸時代の大奥で繰り広げる女の戦いが、見せ場として認知されてたという背景がある。
今回の場合、大奥だけにとどまらず、篤姫の教育係の幾島(松坂慶子)との確執、島津斉彬の妻の英姫(余貴美子)との確執、家定の母・本寿院(高畑淳子)との確執、大奥総取締りの滝山(稲森いずみ)との確執、そして皇女和宮(堀北真希)との確執等、様々な闘いを持ち前の明るさで乗り切るシーンはそれぞれ見せ場を作った。しかも、それぞれのシーンは上品さ(例えば、和宮の堀北真希)、ユーモア(例えば、本寿院の高畑淳子)、適度な嫌味(例えば、庭田の中村メイ子)によって、陰湿な感じを抱かせなかったのがよかったと思う。
こうしたシーンは、普段、女同士の闘いに疲れている現代のOL達、主婦達に支持されたのではないか。

5)衣装美術等のアイテムが本物志向
他局での大奥物の衣装が、金柄の布で派手さをアピールしているのに対し、今回の大河ではあくまで史実に忠実であろうと、柄よりもむしろ生地に本物らしさを感じさせた。
また、手元の小道具や、駕籠などの大道具、大奥の庭、建物などもリアリティがあった。
惜しむらくは、西郷の家紋が蛤門の変の時点で抱き菊になっていた点、水戸家の家紋が徳川宗家と同じだった点など、家紋に関する考証はいまひとつだった。

6)篤姫のシンデレラ結婚、上流生活への憧れ
今年の流行語のひとつに婚活というのがあった。
最近の女性(男性も)は積極的に結婚のための活動をしなければならない時代になったという事だ。
そのように、ある意味厳しい時代を生きざるを得ない結婚願望のある女性達にとって、許婚制度、篤姫の玉の輿婚は憧れであろう。
また、(様々な苦労はあるのだろうが、)篤姫に登場する江戸城大奥での上流階級の生活も庶民にとっては、垣間見てみたい世界なのである。

7)幕末のキャラは一応おさえる
篤姫の時代は、歴史ファンの間にも人気のある時代だ。
特に坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟等は人気があるが、「篤姫」では彼らを上手に話の中に取り込んでいた。
しかも、幕府側からみた幕末、という今まであまりなかった視点は新鮮を感じさせ、歴史ファンを喜ばせてくれたのではないか。
また、西郷と大久保の二人の関係を、それぞれの不遇の時期、活躍の時期の表情を、原田泰造、小澤征悦の二人がよく表現していた。

8)ドラマ全体から伝わってくるメッセージが現代的
篤姫が様々な試練を前にして、決断を迫られる時、義父・島津斉彬(高橋英樹)、実母・お幸(樋口可南子)、家定(堺雅人)からのメッセージを思い出す。
それらは、最終的には「己の信じた道を進みなさい」という価値に集約される。
江戸時代の武家の女がこのような価値観を持っていたかどうかの歴史考証は置いておくとして、行動原理が自分の外のどこか(宗教、慣習、学問等)にあるのではなく、自分の中の素直な気持ちにあるという価値観は、いわゆる戦後民主主義の価値観と通底している。
現代人に自然に入っていったのではないか。
また、「最終的に家族を大事に」というメッセージもあったが、その大事にするものは、血のつながりではなく、財産でもなく、(徳川の)心なのである。
それではその心とはさらに具体的に言えば何なのかという点は深くは掘り下げられてはいないが、逆に具体的でないがゆえに多くの視聴者の心に響いたのではないか。

9)歴史上での篤姫の失敗を上手くカバー
実は、この作品が世に出るまで、天璋院は不幸な女性と言われていた。
政略結婚で大奥に入るが、夫の家定はすぐに亡くなってしまう。息子の家茂も夭逝してしまう。
そして、和宮との確執。大奥明け渡し、明治に入ってからは旧女中達の面倒を見るなど、苦労に苦労を重ねた人生のように言われていた。
特に明治時代以降は、時代背景もあって、和宮と対立した天璋院の評価は低かったのだ。
しかし、今回のドラマではそういったネガティブな天璋院像はなかった。
むしろ、前向きで明るい人生であるように表現されていた。この演出力は素晴らしい。
また、一橋派の策略(慶喜擁立)に失敗。徳川幕府存続にも失敗している。ただ、その失敗はドラマの中では、”大事なのは、権力の保持でも城に居座る事でもない。家の心を残すことだ”という価値観によって、見事に、自然に正当化されて表現されていた。あまり不自然には感じられなかったのである。

10)ボーイッシュな女性が活躍する現代という時代背景
最近の芸能界で活躍している女性を見てみると、一様にボーイッシュな女の子が人気となっている。
以前(10年位前)、イエローキャブの女の子全員にインタビューするという機会があったが、その際、小池栄子、MEGUMI、佐藤江梨子、根本はるみ等、その後、活躍する女の子達はみんな子供の頃の遊び相手は男の子だったと言っていた。逆に見た目は魅力的だが、性格が女っぽい娘は、全員、その後大成しなかった。
また、最近、低調なハロプロだが、その中でもボーイッシュな里田まいと矢口真里が現在でもテレビ芸能界で活躍しているという現象も興味深い。
おそらく、現代は、男ウケする女性よりも、ボーイッシュな女性の方がテレビウケするような時代なのではないか。
篤姫が子供の頃から男の子と遊ぶのが好きだったというエピソードは篤姫人気の一つの隠し味だったような気もする。

11)オヤジ殺しとしての篤姫
高視聴率だったということは、中高年の人々にも広く受け入れられたという事である。
篤姫の、どんどん積極的にオジさんの胸に飛び込んでいく性格は、それらの中高年の人々にも好感を持たれたのではないか。
例えば、調所広郷(平幹二朗)、島津斉興(長門裕之)、徳川斉昭(江守徹)、井伊直弼(中村梅雀)、阿部正弘(草刈正雄)、勝海舟(北大路欣也)等、一癖も二癖もあるオヤジ連中に対して、ひるまず、正面から自分をさらけ出す事によって、最終的にコロッといかせているのだ。
オヤジあしらいの天才としての篤姫という側面も視聴率アップに貢献したのではないか。

以上、勝手に推測させていただいた。
みなさんもそれぞれ考えてみてください。

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まさむね

今のテレビ界は、ちょっと前のプロレス界と似ている

久米宏の「テレビってヤツは!?」、今日のゲストはおすぎとピーコ、室井佑月、宮崎哲弥、秋元康。
テレビについて語るという内容。

しかし、見苦しかった。

ゲストも一応、有名人はそろっていたにしては意見がまるで貧困。例えば、ドラマ部門で「篤姫」圧勝、バラエティ部門で「紳助物」が1位2位独占、という状況がわかったとして、何故、そのような状況なのかという事に関して、ちゃんと考えてきている人が一人もいない。それどころか、「篤姫」に至っては毎週見ている人が一人しかいない。これでどんな分析が出来るというのか?
議論の内容がどこかで聞いた事のある一般論になるか、内輪のこぼれ話(それも当たり障りのない)になるしかないではないか。もう少し、説得力のある解説が欲しかった。

また、総体的にみんなそれぞれ、言いたいことがあるんだけど、ここでは言えない、時間がなくて言えないオーラを発散しまくっていた。
視聴者も含めて、みんな思っていることの範囲が明らかに、テレビで放送できる範囲を超えていて、そのズレがいわゆる奥歯に物がはさまった言い方になってこちらに伝わってきてしまうのだ。

   ◆
そういう意味で、今のテレビって、一昔前のプロレスにとってもよく似ていると思った。

村松友視が言ったところの「暗黙の了解」。
その了解が、村(業界内)の人たちだけが知っている掟だったうちは、(村の外の)お客はそれはそれで興奮して、楽しく見ることができた。

しかし、村の外の誰かが、その「暗黙の了解」に気付いて、おかしいと言い出す、あるいは、その「暗黙の了解」があるから、逆に面白いのだと言い出す。
村松友視の「私プロレスの味方です」という著作はそういった意味で、プロレス界にとって、非常にあやういものだったのだ。

ちなみに、プロレス史を振り返ると、その村松さんのプロレスの味方に、猪木は乗り、馬場は無視した。だから、一方で過激なプロレスがあり、一方で普通のプロレスがあるという二つのプロレス観が並存した時期があった。思えば、その時代(おそらく80年代)皮肉なことにプロレスが最もエキサイティングだったのである。

しかし、そんな危うい均衡状態が長く続くはずもない。こんな状況に対して、村の中の誰かが、「本当の事」を言い出す。
今考えると、UWF(前田日明のプロレス)の登場、逆の方向からのFMW(大仁田のプロレス)というのは、言語的にはプロレス内のものであったが、見方を返れば、その「暗黙の了解」を肉体で表現していたんだと思う。

そして、90年代、その「暗黙の了解」の存在が、徐々に村の外に伝わり、観客達の中に「やっぱりな」という空気が蔓延する。
そして、その時、外から全く新しい刺激的なリアル格闘技、K-1、UFC等が来襲する。
そうすると、「暗黙の了解」に守られていたプロレスは、ひとたまりもない。ゆるい見世物に堕してしまったのだ。
   ◆
プロレスのことをそれほど知らない人にとってはわかりにくい例だったかもしれないが、今のテレビというのが、危機だってことだ。

しかし、一方、現時点ではその受け皿になるべきインターネット界もまだまだ準備が出来ているわけではない。これも問題だ。
一番大事な点は、インターネットではテレビほど強固なビジネスモデルが確立できていないという事だ。
まだまだ、広告料が、安すぎる。ワンクリックいくらが安すぎる。アフリエイトで稼ぐのなど夢の夢だ。

さて、この状況を、とりあえず変える次のステップは、テレビの良識にとらわれないメッセージを正確に発する事が出来て、しかも力も人気もあるようなパーソナリティの登場なんだと思う。
そういったオピニオンリーダーが必要なのではないか。まぁ、いろいろと邪魔されちゃうんだろうけどね。

おそらく、今回の番組に、ひとりだけでも、そんな元気な20代くらいの狂った論客がいればまた空気が変っていただろうに。
まぁ、そんな存在を、しばらく待つことにしよう。
 ◆
あるいは、テレビのニュースバラエティに関して言えば、より討論の意味がわかりやすい方向に番組演出が変わっていくように思う。例えば、論点(消費税の是非とか、失業対策、田母神発言の是非とか)を決めて、それをチーム(発言する人、論旨を考える人、演出する人等で構成)対抗で、格闘技形式の演出にして、視聴者の生の投票によって、勝ち負けを競わせるようなものとかどうだろうか。
そうすれば、支持率の高い意見、支持率の高いプレゼンテーターなどが何勝何敗とかで明確でわかりやすくなる。コメンテーター同士の安易な頷きあいもなくなっていいのではないか。

まさむね

ノアのテレビ中継打ち切りは残念の一言だ

ノアのテレビ中継が来年3月で打ち切りになるという。

全くもって残念なことだ。
これで、プロレスと世間との間にあった橋がまた一つ落ちた。
日曜日の深夜でもいい。何気なくつけたテレビに、映ったレスラーたち。
それを見て、プロレスって案外面白いじゃないかと言って、ファンになるような人たちがまた減ってしまう。

しかし、そこまでプロレスというジャンルが世間に対してインパクトを与えることができなくなってしまったのか。
プロレス側にも問題があるようにも思えるが、それはここでは書かない。あまりにも悲しくなってしまうからだ。

問題はテレビ局にもある。力道山時代から、常に優良コンテンツとして、ある時期、テレビ局自体をも支えてきたプロレスを切ってしまってよいのか。
ここに至るまで、番組関係者も大いに悩んだことだとは思うが、それが社内的な経費削減、制作費見直しの中から出てきた話であれば、それはそれで寂しいことだ。
実を言えば、最近は、プロレスファンの僕でさえ、ノア中継を見なくなっていた。
勝手な言い分だが、それでも、毎週放送していてくれているということが大事だったのだ。

思えば、プロレス中継は若手アナウンサーの登竜門的な場所でもあった。
全日本プロレス中継は、徳光さん、福沢さんという、その後、プロレス中継を卒業しても立派にやっていけるアナウンサーを輩出した。
勿論、松永さん、倉持さん、若林さん、金子さん、野口さんも覚えていますよ。
ちなみに、一方の雄、ワールドプロレスリング(新日本プロレス中継)からは、あの古舘さんが出ている。

虚実の皮膜から立ち上がってくるリアリティを感じ取り、それを活きた言葉にして我々に伝えてくれたあのアナウンサー達の修練の場がまた一つなくなってしまうのかという、テレビ側からの哀愁の情もあるんではないでしょうか。

それにしても、今、こうして中継が打ち切られると知ると、過ぎ去りし日の記憶がまたよみがえってくるのもプロレスファンとしてのさが(性)なのだろうか。

初めてタイガーマスクとして徳光さんに紹介されてコーナーポストの上に立った蔵前国技館。
そのタイガーがマスクをかなぐり捨てた東京体育館。
若き日、輪島のつき人として、タイガージェットシンのサーベルの餌食になっていた小橋健太。
同じく、猛然とハンセンに突っかかっていったのも彼だった。
天龍同盟のセコンドについていた華麗な少年・小川良成。
ジャーマンが下手なアマレス王者、異形の実力者・本田多聞。
その他、泉田、百田、田上、森嶋、力皇、菊池、井上、秋山、丸藤、杉浦...と思い出のレスラーは尽きない。

引退(または死亡)しちゃったけど、永源、大熊、ラッシャー、石川、輪島、阿修羅、馬場、小鹿、羽田、トンガ、そしてハル薗田。
外人ならば、ハンセン、ブロディ、アンドレ、ブッチャー、シン、ウィリアムス、マレンコ、ピートロバーツ、スパイビー、ジョニーエース、クロファット、パトリオット、イーグル、オブライト、ダグファーアス、ブラックウェル、フリーバース、マスカラス、フレアー、ジミースヌーカー、ハリーレイス、シーク、ニックボックウィンクル、ロビンソン、マーテル、ガニア、ファンクス、古くは、サンマルチノ、ジョナサン、カマタ、マクダニエル、ラシク、イアウケア、ディックザブルーザー、リソワスキー、スレーター、エリック、コワルスキー、ブラジル、バーナード...トムマギーやラジャライオンまでも今となってはいい思い出だ。

今後何年、何十年も経ってしまえば、これらの往年のレスラーの記憶も人々の心から消えてしまうんだろうな。
そういえば、昔、馬場と猪木とどっちが強いとか、新日本と全日本はどうちがうとか口角泡をとばしてた時代が懐かしい。
今、思えば、あの口論、何だったんだろうか。(苦笑)

ちょっとしみじみ。

まさむね

1億3000万人が選ぶベストアーティスト2008斬り

1億3000万人が選ぶベストアーティスト2008

歌う前に投票の結果が発表される趣向。ファンの男女比とかわかって興味深い。

オープニングは、関ジャニ∞。
NSKDは「ラストフレンズ」でデートDV男やってたから覚えてるが、その他はテレビで見るのは初めてだ。
コミックグループだったのか。関西出身だからっていうお笑い路線って、安易なマーケッティングじゃないか。

KAT-TUN、以外に十代の男性にも人気があることがわかった。
彼らのファッションとライフスタイルに憧れているのではとの赤坂泰彦の解説。
ファッションは分からなくもないが、KAT-TUNのライフスタイルって何だ?
高級セキュリティマンションでお笑い番組見て、GYMとの往復がそんなにいいのか?
また、KAT-TUNへの50歳の主婦からのファンレター。「コンサートで騒いでいいですか?」って、ダメとは言えないだろう。

続いて、Kinki Kids。アンケートによると10代、20代は女性人気だけど、30代では男性人気の方があるって、30代になって、Kinki Kids聴く男ってどんな階層か?
二十数作連続オリコン1位ってギネス記録らしいけど、TOKIOの紅白の連続出場と同じで、崩したらイメージ落ちちゃうよね。
発売時期は他のジャニ系の発売、控えたりして、結構苦労するんだろうな。一時、自社でのCD買占め疑惑ってのもあったよね。

この間、ジャニをはさんでaiko、大塚愛、中島美嘉が熱唱。さすが長年、この世界で飯を食ってるだけあって、グッドパフォーマンス。
3人とも、やはり圧倒的に男性ファンよりも女性ファンが多い。
女性アーティストが生き残るには、女性向けのマーケッティングが必須って事か。

Perfume、鼠先輩、大橋のぞみが登場。

鼠先輩のジョークにのぞみちゃん、ふにゃふにゃと半ウケ。
司会の今田から、のぞみちゃんに、鼠先輩には、あまり近づかない方がいいよ。には苦笑。

Perfumeのパフォーマンスはいつも同じと言えば同じ。
鼠先輩はなんか場違いな感じ。でも、考えてみれば、日テレでは、「スッキリ!!」とか「ラジかるッ」でデビュー前からプッシュしてたからね。
のぞみちゃんのポニョは、いくら下手でも、彼女が歌えば、それが正解っていうのが強みだよね。

続いて安室奈美恵の登場。10代男性、20代女性に人気というのも分かる。「NEW LOOK」はどうせならば、前髪パッツンで歌ってほしかった。
平井堅は久々登場の印象。声を出すときのブレス音が気になるが、それは”老い”か、”味”か。

ここで何故か、アニマル浜口親子。気合パフォーマンス。この人の芸もユニークだよね。何故か、僕にとってはマンネリ化しない。

そして、倖田來未。
10代、20代は女性からの支持、40代、50代は男性から極めて高い支持。
おそらく、夜のキャバクラ系キャラは、10代、20代の女性にとっては憧れ、40代、50代の男性は”お客さま”としての支持といった解釈か。
私生活に関しては、料理が趣味とか。もう一つのプライベートに関しては、無言。私は貝になりたいというところか。

続いてV6とTOKIO。
TOKIO紹介のVを見ると、今年の活躍として、国分が「ゴチバトル」、山口が「オネエマンズ」、長瀬、城島等は「鉄腕DASH」、松岡は「ヤスコとケンジ」で活躍が紹介される。
いつの間にか、日テレの御用タレント化してたのかTOKIO。
V6は渋くキメる。簡保さんも元気。パフォーマンスだけで言えば、ジャニーズ随一だな。
TOKIOの演奏はいつも安定してる。特に松岡のドラム上手いと思う。

次は青山テルマと木山裕策。
木山の応援団として、木山を輩出したオーディション番組の「歌スタ」から東野とチュートリアルが登場、今田も含めて、芸人仲間であんまりジャレていたら、徳光に青山テルマにも話しを聞いてって普通に怒られる今田。苦笑い。

テルマはいつも通り。
木山は短髪で小粒な平井堅という感じ。境遇話とセットじゃないと辛いか。

そして9時またぎは、ザッピンッグする一般視聴者取り込み用にSPEED登場。
「SEADY」「Body&Soul」「WhiteLove」等の往年の名曲に、「明日の空」を加えたメドレーの大サービス。今年の24時間テレビからの再結成だからね。

芸人4人登場。はるな愛、渡辺直美、芋洗坂係長、エド・はるみのいつもの芸。必要あったのか。まとめて別番組に宅配したい。
続いて、2001年~昨年までの番組のハイライトメドレー。2001年には、宇多田ヒカルとか出てたんだ。

ここで嵐の登場。
ご存知の通り、総務省総合通信基盤局長、電波部長を歴任された櫻井俊氏は、事務次官の呼び声も。
息子の翔君は日テレの「ZERO」のキャスターや北京五輪でのメインパーソナリティ。
妹さんは、日テレ内定でしたっけ。
家族そろってご活躍、なによりです。歌の開始は、まだ会場に来ない松潤待ち。

待っている間、EXILEと絢香。
EXILEは「Ti amo」いつも通り。
支持は40代、50代の女性からが圧倒的。彼らの歌は基本的に、ベッドでのささやきソングだからね。そういうオバサンに強いんだ。

絢香のパフォーマンスの前に小倉智昭からのビデオメッセージ。
「今年は絢香のライブ、6回しか行けなくてごめん。来年は8回くらい行くから」といつものさりげない嫌味自慢。

続いてハセキョーをハラませたポルノ・新藤の登場。
今田のトークで、ヴォーカル・岡野昭仁が吉本興行の山崎邦正とメル友という話になるが、徳光ついていけず、多分、山崎まさよしと勘違いしたか、ちぐはぐな受け答え。逆に笑える。

コブクロも登場。先日、渋谷で路上ライブやったんだって、こういうストリートミュージシャン系の人ってたまに、路上に戻りたくなるみたいね。

そして10時またぎ(正確にいえば、9時58分)に嵐の松潤、間に合う。
っていうか、「待ちに待った」という完璧なタイミング、さすがプロというべきか、楽屋で待ってたというべきか。

歌ったのは「one love」(映画の方の花男ソング)「風のむこうに」(日テレ北京五輪ソング)。
今年一番のヒット曲「Truth」と最新ヒット曲「Beautiful days」は歌わず。ちなみにそれぞれ、TBSの「魔王」、同じくTBS「流星の絆」のテーマ曲。

驚いたのは、ここでサザンオールスターズの登場。番組HPに名前がなかったのに...と思いきや、コンサートのビデオだった。勿論、信号三色旗は無し。
交渉したけど、出てもらえなかったという事だけはメッセージとして伝わる。

そして、満を持してMr.Chldrenの登場。HANABIの熱唱。
改めて思う。桜井ってゆずの北川に似てるよね。こういう顔、トイズフェイスっていうのか。

続いて、3000万人が選んだアーティストのビデオ登場。
宇多田ヒカル、小田和正、B’z、Greeeen、SMAP、福山雅治、ドリカム。出てもらえなかった人たちです。

そしてここで、何故か、世界の歌姫・ブリトニースピアーズ登場。
ところが、パフォーマンスはともかく、明らかに音声の調整ミス、小さすぎ。
歌が大橋のぞみよりも迫力無い。
インタビューにも、登場するが、退場も早い早い。

最後のトリは、浜崎あゆみ。
FNS歌謡祭の時は、SMAPがトリだったが...
新曲を披露。さすが大物と言うべきか、傲慢って言うべきか。
Vで今までの浜崎の10年のヒット曲流す。視聴者的には、これで帳尻か。立場の弱い日テレ。

最後のMC。
舞台には、芸人達だけ残るという無残な段取り。
徳光まとめるが、全体的にノリ悪く場違いの感あり。彼は演歌番組向き。
そういえば、飯島直子いたのか。

◆関連エントリー◆
2008年FNS歌謡祭 斬らせていただきました
MUSIC STATION SUPERLIVE 2008を斬らせて頂きました

まさむね

「イノセント・ラヴ」最終前回における10の奇行

イノセントラブの9回目放送の平均視聴率が出た。
最終回一回を残しての、14.5%だ。
月9ドラマとして、この数字が及第点だとは思えないが、それまでの数字の動きから見れば、盛り上がってきたとは言えるだろう。

1回目放送 16.9%
2回目放送 13.3%
3回目放送 13.1%
4回目放送 11.7%
5回目放送 11.7%
6回目放送 12.6%
7回目放送 13.4%
8回目放送 12.8%
9回目放送 14.5%

今まで、聖花(内田有紀)の突然の、植物人間からの突然の起き上がりや奇行など、すなわち彼女の唐突演技に支えられて、6回目放送以降、徐々に上げてきた視聴率も、聖花が、9回目放送の最後の方ではついに立ち上がり、殉也(北川悠仁)と佳音(堀北真希)の結婚式会場に向かうという、これ以上無いようなあり得ない展開に。視聴率的に大いに貢献した。
さらに、この回は、その他に、佳音の兄・耀司(福士誠治)による殉也にナイフでの切りかかり、美月(香椎由宇)の殉也や聖花に対するイジメ、殉也と佳音のキス、佳音の花嫁衣裳姿など、”単品”でも魅力的なシーンの連続で、この14.5%という数字を無理やり確保したという感じだろうか。
しかし、シーン&シーンをそれぞれにキャラ立ちさせるために、ストーリーが破綻してくるというのは、いかがなものか。最終的に俳優自身の魅力で引っ張れなかったシワ寄せがこういった展開を生み出してしまったのである。そこが今回の「イノセントラブ」と前作「ラストフレンズ」の大きな違いだと思われる。

しかし、元々、このドラマは、登場人物の奇行(覗き見、勝手な家への上がりこみ、盗み撮影等)の連続だったことは確かで、恋愛ドラマというよりも、ホラーあるいはSFとして見るべきだと思っていたが、9回目放送回も、登場人物の心の動きの不自然さがどんどん出てきた。登場人物の心情よりもシーンの奇抜さに心を奪われていかざるを得ない展開だ。

それらを以下にまとめてみよう。

◆1◆佳音を追って、長野までやってきた殉也。佳音のアパートにやってくるが、佳音に拒絶され、アパートの近くから昼夜離れない。「僕はいつまでも待っている」と言えば、聞こえはいいが、傍から見ればただのストーカーだ。

◆2◆部屋の外で、賛美歌のオルゴールを聴かされ、説得されて、殉也を部屋に導きいれる佳音。意志が弱すぎる。

◆3◆出所した耀司が、夜にそのアパートへやってくる。何故かドアの鍵が開いている。部屋では2人で一つの毛布に包まり就寝。あまりにも無用心だ。

◆4◆耀司が殉也にナイフで襲い掛かる。それを止めようとする佳音。結局これは耀司による佳音の(両親を殺したのは彼女ではなく、耀司だったという)記憶を呼び起こそうとした狂言だった。耀司は、心理学者か。この行動によって佳音の記憶が戻るということが、何故解ったのか。それにしてもリスクの高すぎる行動だ。

◆5◆その後、耀司がナイフで自殺を図るが、殉也に阻止され、泣き崩れる。殉也曰く「生きていて欲しいんだ」って、心広すぎ。

◆6◆とりあえず、殺したのは自分ではないという記憶をよみがえらせた佳音。一応、自分が幸せになってもいいんだという免罪符を受け取る恰好に。でも、殺そうとしたことは確かなんだから、最後に刺したのが耀司だからって、自分は救われるの?という疑問が残る。

◆7◆横浜に帰り、佳音にプロポーズする殉也。聖花を死ぬほど好きだったのではないか。この心変わりは早すぎるとの指摘も。

◆8◆勿論、佳音はOKする。「殉也さんの笑顔を近くで見たい」という事で近くにいたのではないか。それまで、潜在的に存在した下心が露呈した恰好に。

◆9◆そして結婚式。自分が振った美月(香椎由宇)がいる教会での結婚式。美月への配慮はまるで無し。

◆10◆殉也の写真を見て、彼を思い出した聖花。招待状の住所を見て、その式場に歩いて向かう。彼女の頭の中はどうなっているのか。住所が解るのか?いきなり立ってそこまで歩けるのか?等の不条理の謎が残る。

来週の予告Vによれば、その聖花が教会の上から身を投げ、受け止めようとした殉也が下敷きになり頭から血を流すというわけのわからないシーンが見られた。また、昴(成宮寛貴)の殉也に対する同性愛、耀司の佳音に対する近親愛等がまだ未処理だ。どうなるのか。

脚本担当・浅野妙子の前作「ラスト・フレンズ」のように、誰か死んで遺児を、残り人々が育てるというパターンになるのか。
そうだとしたら、死ぬ(あるいは植物人間になる)のは殉也で、彼の子を宿した佳音が兄・耀司と一緒にその子を育てるのか。兄の気持ちを考えるとそれも無理がある。
あるいは佳音が死んで、殉也と耀司が一緒に...というのももっとあり得ないか。

しかし、いずれにしても、登場人物の行動の唐突さでは他の追随を許さないこのドラマだけに何があるかわからない。
というわけで、来週の最終回もなんだかんだ言って、テレビの前に釘付けにされる僕であった。

まさむね